【イベントレポート】LEG愛媛「U-35 NEXT」
2026.03.07に実施したLEG愛媛「U-35 NEXT」@愛光中学校・高等学校の様子をまとめました
若手V.S.ベテラン〜プレゼンバトル〜
1人4分間で対戦形式にて授業実践プレゼンを行いました。最終的には若手チームが勝利しました。
第1試合
納田先生(若手):英語を「やり取りのツール」として捉え、中2の50分授業で「合意形成」を目標にした実践を紹介しました。ロイロノートのシンキングツールを使って1回目と2回目のロールプレイの間に分析を挟むことで、生徒が「話せた・伝わった」と実感できる指導法を提案しました。
片岸先生(ベテラン):教員のキャリアとお金という「うさん臭い話」をテーマに、教員給料一本の「軸足」から脱却する資産形成の重要性を説きました。心と行動にゆとりを持ち、自分の人生を自分らしく生きるために、お金に働いてもらう仕組みを提案しました。
第2試合
小西先生(若手):4月の学級開きにおいて、「子供と同じ土台に立つこと」と「居場所作り」を重視する姿勢を示しました。ロイロノートで子供たちの既有の知識を引き出し、一人ひとりの学びの価値を言葉で「価値付け」して共有することで、深い学びへ繋げる実践を語りました。
浜田先生(ベテラン):ロイロノートを使い、自分の好きな漢字を納得いくまで「何度も修正して提出する」プロセスを評価する手法を紹介しました。編集履歴を確認できる機能を活用し、生徒がどのように試行錯誤したかを可視化して評価に繋げる重要性を強調しました。
第3試合
植田先生(若手):荒れた学級で授業に参加できなかった児童が、ICTを活用して居場所を見つけ、主体的に変容していくドラマを紹介しました。一人の児童にフォーカスし、ロイロノートで「できる場面」を積み重ねることで、感謝の言葉を伝え合う関係性を築いた感動的な実践でした。
上原先生(ベテラン):教育実習生が抱く「教職=ブラック」というイメージを覆すため、「小学校教員はいいぞ」というメッセージを発信しました。何事も楽しむ「遊び心」と「余白」を持つ大人の姿を見せることで、教職の魅力を次世代に伝える実践を共有しました。
第4試合
川口先生(若手):高校公共の授業でAI(スクールAI)を「リングに上げる」という、多角的な思考を促す挑戦的な実践を報告しました。AIにあえて生徒の意見を「煽らせる」ことで、生徒の「論破したい」という主体的なブラッシュアップを引き出し、議論を深める手法を提示しました。
松下先生(ミスターX・ベテラン):ガザの医師を描いた映画を題材に、「国家という箱と個人の意志がぶつかった時、どちらを優先すべきか」という哲学的な問いを投げかけました。非当事者として「どうありたいか」を生徒に考えさせ、法と暴力の支配における個人の意志のあり方を問いました。
アナザースカイ
少しあちこち越境している先生方に、それぞれの現在地を語って頂きました。
林先生:若手教員の挑戦とコミュニティ作り
経歴と原点: 名古屋で教員をスタートした後、北海道で臨時免許での担任を経験しました。当初は「3クラス担任不在」という過酷な状況でしたが、生徒たちと「林ファンクラブ」ができるほどの強い信頼関係を築き、それが教員を続ける自信の原点となりました。
困難と決断: その後の赴任先では、警察沙汰が頻発するような荒れた現場や、自分の意に反する人事(特別支援への固定など)を経験しました。しかし、「誰かに敷かれたレールの上を歩みたくない」という思いから退職し、現在は愛知を拠点に活動しています。
現在の活動: 若手教員が挑戦し続けられる場所を作るため、「若手コミュニティ」を主宰しています。特に、地方の若手が学びや繋がりを諦める要因となっている「移動(交通費・宿泊費)の壁」を、企業連携などを通じて解消する仕組み作りを目指しています。
松下先生:未来をデザインする「緩で圧な探究」
教育哲学と学校改革: 東福岡高校で学校改革の最中にあり、2026年度のApple Distinguished Educator (ADE)にも選出されています。単なる課題解決(マイナスをゼロにする)ではなく、0から1を創り出す「スペキュラティブ・デザイン(未来を構想するデザイン)」を重視し、生徒が社会を自らデザインする力を育むことを哲学としています。
探究学習の実践: 「ゆるでふわな探究」というコンセプトを掲げています。これは、生徒一人ひとりの目標が違ってもよいという「ゆる」と、教員が安易に誘導せず、生徒自身の意志と価値付けを徹底的に尊重する「ふわ」を両立させる考え方です。
演劇と対話の導入: 具体的な実践として、生徒たちに演劇(タイトル「分かり合えないことから」)を制作・上演させました。対立や葛藤を抱える生徒たちが、演劇を通じた身体性のある学びや、13回にわたる継続的な「対話」の授業を通じて、他者と向き合い未来を考えるプロセスを大切にしています。
パネルディスカッション
四国4県の先生方+生徒さんたちで「四国の教育あるある」をシェアしました。
「踊るゆきこ御殿」は、教育SNSアドバイザーの渡邊ゆきこ先生をファシリテーターに迎え、四国各県の若手教員(高知:小野川先生、徳島:神名先生、香川:植田先生、愛媛:片岸先生・山下さん)が、四国の教育現場のリアルな県民性や課題を本音で語り合うディスカッションセッションでした。
主な内容は以下の通りです。
四国4県の県民性と教育文化:香川は「型を破らない真面目な職人気質」、高知は「熱しやすく冷めやすいが開放的」、徳島は「外部より独自システムを好む」、愛媛は「大規模で活発だが同調圧力が強い」といった、それぞれの地域性がICT活用や教育観にどう影響しているかが語られました。
「移動の壁」と「心の壁」:四国山地という物理的な障壁により県同士の交流が意外と少ないことや、前例踏襲を重んじる文化が変化の妨げになっている現状が指摘されました。これに対し、ICTという「物理を無視できるツール」を持ちながらも、最後は「同じ釜の飯を食う」ような対面の繋がりがコミュニティ構築には不可欠であるという結論に至りました。
働き方と「こだわり」のあり方:教員の忙しさについて、やらなければならない仕事(マスト)と、自分の情熱を注ぐ「こだわりのゾーン」を切り分けて考える重要性が議論されました。AIなどに任せられる部分は任せ、「余白」や「遊び心」を持って子供と向き合うためのマインドセットについて意見が交わされました。
四国各県の代表が、笑いを交えながらも「四国全体で繋がって教育を盛り上げていこう」という強い絆を確認し合う、熱気のあるセッションとなりました