【イベントレポート】Next GIGA語ろう!2026 第5回 質の高い探究的な学びの実現
2026年2月17日(火)に開催されたオンラインイベント「Next GIGA語ろう!2026」のレポートです。
第5回目は、溝上慎一 氏(桐蔭横浜大学教授)にご登壇いただきました。
探究的な学びの基本的な考え方や、次期学習指導要領改訂に向けた方向性を踏まえながら、「質の高い探究的な学び」とは一体どのような学びなのかについてお話しいただきました。
目次
学習指導要領の変遷を踏まえた探究的な学びのそもそも論
総合的な学習の時間の「外出しの戦略」から始まった探究的な学び
平成10年の学習指導要領改定では、総合的な学習の時間が「子どもが自ら学び考える教育」として打ち出されれ、平成20年の改定では「探究的な学び」という言葉が明確に追加されたという変遷が紹介されました。また、「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」という探究のプロセスが確立され、新たな学習パラダイムを担う場として位置づけられたことについても説明されました。
さらに、この総合的な学習の時間を「外出し」の戦略として位置づけたことが、横断的・総合的な学びを生み出し、それを各教科や教育活動全体へと広げていく構図の出発点となったと解説されました。
デューイの探究的な学習
探究的な学習の源流としてデューイが取り上げられ、キーワードである「経験の再構造化」についてご説明いただきました。「連続性」と「相互作用」という2つの軸が重要であり、自分と外的環境(他者や状況)との関わりの中で、子どもがこれまでの経験や知識をもとに新たな学びへとつなげていくことが「経験の再構造化」であると説明されました。
また、「反省的思考」とは、これまでに得た知識や考えを反省的に捉えて次の思考を生み出していくことであり、探究のプロセスを進めるうえで欠かせないものであると言及されました。
2つのPBLの整理
2種類のPBLについてご紹介いただきました。「問題解決学習(Problem-based Learning)」は、実世界の問題をもとに知識の習得や問題解決の態度を育成する手法であると説明されました。一方、「プロジェクト学習(Project-based Learning)」は、フィールドワークや地域・企業との連携など、総合的な学習の時間に通ずる部分が大きいとお話しいただきました。
これらを踏まえた探究的な学習の特徴として、①伝統的な学習では身に付かない学習を行う ②自己主導型学習を行う ③問題解決を行い、その資質・能力を身に付ける ④解は一つとは限らない ⑤実社会・実生活の課題に取り組む ⑥協働的な学習を行う ⑦構成的アプローチを採る という7つのポイントが示されました。
総合的な学習とは何か?
総合的な学習の時間では、各教科等で身につけた資質能力を生かして実社会・実生活の課題に取り組むことや、教科の枠にとらわれずに課題探究を行うことが明示されています。一方で、実社会・実生活の課題に向き合う中で、各教科では扱わない内容や、非学問的な内容にも直面することになるとお話しいただきました。
総合的な学習独自のポイント――自己の在り方・生き方
自己の在り方・生き方とは?
「自己の在り方・生き方」を考えることは、単なる興味・関心から問いを立てることとは異なると強調され、その違いについて説明されました。興味・関心に基づく問いが日常生活の中で気になることにとどまりやすいのに対し、「自己の在り方・生き方」とは、学びを通して「これまで・現在・これから」という時間軸や、他者・社会との関係性の広がりの中で、自分の生き方の問題へと高めていくことであるとお話しいただきました。
生成AIと課題設定
生成AIの活用によって、探究のプロセスにおける「課題の設定」が容易に行えてしまう点について言及されました。本来の課題設定は、これまでの自分の経験を踏まえ、自分の内側から問いを掘り起こしていく営みであり、生成AIを用いることでそのプロセスが省略されてしまうと指摘されました。そのため、溝上先生は、課題設定においては生成AIを過度に用いないよう指導されていると述べられました。
また、就職活動の面接を例に挙げ、表面的に作られた問いでは受け答えも表面的なものにとどまり、グループワークや発表等でのより深い対話や議論に対応できなくなると具体的に説明されました。
課題研究との違い
「課題研究」と「総合的な学習」は、いずれも問題解決に取り組む点では共通しているものの、「自己の在り方・生き方」という視点が課題研究には含まれていないという点が、両者の本質的な違いであると言及されました。
課題研究は、与えられた課題の中で興味・関心を深めていく側面が強いのに対し、総合的な学習では、自分の内側から問いを立てていくという点に違いがあると説明されました。そのうえで、1・2年生の段階で「自己の在り方・生き方」を踏まえた探究に取り組んだうえで、課題研究へと接続していく方向性が提案されました。
次期学習指導要領改訂に向けた探究的な学びのポイント
総合と情報教育とのカップリング
次期改訂に向けて、総合的な探究の時間と情報教育を結び付けていく方向性が示されました。
また、総合的な学習の時間を「情報の領域」と「探究の領域」に大きく分けたうえで、情報の領域に「ミニ探究ユニット」を設ける構想が示されました。ミニ探究ユニットでは、ICTを活用しながら探究プロセスの型を学び、その型を基盤として個々の探究活動へとつなげていく構造であると説明されました。
各教科における「活用」から「探究」へ
これまで各教科で「活用」と呼ばれていたものが、「探究」という言葉で整理されていく方向性が示されました。
各教科の単元における問い(パフォーマンス課題)を起点に、概念レベルで学びを深めていく構造は、探究のプロセスと重なるものであると説明されました。さらに、「探究とは学習者の裁量によって深まる学習の営み」であり、各教科も含めた教育課程全体で捉え直していく方向で改訂が進められていることが示されました。
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