【働き方ウィーク①】会議を待たずに学校が動く。東奥義塾が実践する「校務DX」
2026年6月11日から全5回で開催しているオンラインイベント「ロイロノート働き方ウィーク」。
第1回はゲストに東奥義塾中学校・高等学校塾長の井上嘉名芽先生をお迎えし、「校務DX」の事例をご紹介いただきました。
目次
登壇者 井上嘉名芽先生(東奥義塾中学校・高等学校 塾長)
受賞・著作歴
文部科学大臣優秀教職員表彰(令和3年度)
ロイロ認定イノベーター 他多数
1. 職員会議を待たずに意思決定ができる「デジタル決裁」
月1回の職員会議だけを意思決定の場にすると、「次の会議まで待つ」ことが足かせになる場合があります。井上先生は「会議を待たずに議論・決定を進める仕組み」をロイロノート上に整えました。
準備
管理職と各部署長が参加する共有ノート(ロイロ運営委員会)
全教職員が参加する共有ノート(ロイロ職員会議)
提案から決定までの流れ
提案者が、締め切りを記入したカードをタイムラインに配信する
ロイロ運営委員会のタイムライン上で意見を募り、質問や修正をやり取りして提案内容を固める
内容が固まったらカードを全職員が参加するロイロ職員会議の共有ノートへ移し、数日間の猶予を取って改めて意見を集める
ロイロ職員会議の共有ノート上で合意した事案を「決定事項」としてカードに記録。対面の職員会議と同等の決定として扱う
井上先生のコメント
「ポイントは、一連の流れを "対面の職員会議と同等の決定"として扱うこと です。ルールを決めることが全てのスタートとなります。この仕組みがあるおかげで、私の出張が多くても、次の会議を待たずに学校を動かすことができます。ペーパーレス化はもちろん、意思決定のスピードを変えることが一番の狙いです」
2. 職員朝会を1分に短縮!生徒と向き合う時間を生み出す方法
その日の連絡を事前にカードで配信しておくことで、朝会そのものを限りなく短くしています。こうすることで、会議の時間を大幅に短縮でき、それによって生まれた時間を生徒と向き合う時間にあてられます。
具体的な流れ
教頭・各学年主任が、前日または当日の朝にその日の連絡をカードで全職員に配信する
職員は朝会が始まる前にカードへ目を通し、内容を把握した状態で朝会に臨む
朝会では補足説明を最小限にとどめることで、1分以内には終了することが多い
勤務時間外に作成したカードは、翌朝の勤務開始に届くよう配信予約しておく
井上先生のコメント
「担任の先生にとって、朝の数分は大事な時間です。早めに教室に入れると、生徒と話せる余裕が生まれます」
3. 塾長と全職員をつなぐ「個別の報連相」
年間130日ほど出張する井上先生にとって、「学校長が不在だと判断が止まること」は切実な課題でした。そこで、全職員と1対1でつながる仕組みを作り、校長不在でも報連相と判断が止まらない環境を整えました。
具体的な流れ
教職員・事務職員・技能職員を含む全82名と、それぞれ1対1のクラスを作成する
先生からの相談・報告はカードで送信。塾長は出張先からでも判断を返せる
教員とのやり取りは、1枚のカードに返信のカードを重ねる「カードinカード」の形で残す。これにより、誰とどのような話をしたか履歴を振り返ることができるようにする
事務室との連携にも同様の施策を実施。用件や電話の取り次ぎを互いのカードに残すことで、「言い忘れ」「聞き漏らし」によるミスを防ぐ。電話の取り次ぎは教員との間でも同様で、従来のように内線や付箋ではなくカードで届くため、生徒対応の最中に中断されることがなくなり、自分のペースで対応することができる
現場の先生方からの声
「以前は相談したくても忙しそうで、言えないままでした。今はカードに書いてすぐ送れるので助かっています」
4. その他の取り組み
東奥義塾では、校務のあらゆる場面でロイロノートが活用されています。
学校訪問用のプレゼン:中学校・小学校への訪問用に、複数の長さのスライドを作成
部活動の広報活動:各顧問が日常の写真・動画や大会の結果を校内に共有
欠席・感染症・公欠の管理:電話での連絡や、出席停止情報などを専用授業に集約。担任の先生が自分のタイミングで確認・処理できる
教育実習日誌の電子化:紙の日誌を写真で提出し、指導教員が場所を問わず添削・返却
ロイロ認定取得のサポート:認定ティーチャーを目指す教員のプロット図を共有し、タイムライン上で互いにアドバイス
情報リテラシー授業:全校生徒向けの情報リテラシー講座を実施。外部講師にも提出箱や共有ノートを使ってもらい、通常の授業に近い形で進行
各部活動の連絡:部活動ごとに専用授業で共有。大会要項の共有に最適
大会報告等:各部活動の大会結果を共有することで、次の日の新聞を待たずに全教職員に共有できる
5. まとめ
イベントの最後に、井上先生から校務DXを始めるためのポイントを伺いました。
「管理職がロイロノートを授業支援ではなく校務支援で使うことを検討し、校内でのルールを決める。この2つさえできれば、あとは担当者に設定をお願いするだけで動き出せます。組織の構造をそのままデジタル上に再現するイメージでクラスや授業を作っていくと非常にスムーズです」
6. アーカイブ動画
公式YouTubeチャンネルにてアーカイブ動画を公開しています。ぜひご覧ください。