【公開授業研修会レポート】宝仙学園小学校「みつける・きめる・つむぐ〜自他の意志を尊重する子どもの育成〜」2025年2月
2025年2月21日に開催された宝仙学園小学校の公開研究会レポートです。
公開授業①
小学校1年生〜6年生までの全授業が公開されました。
1年松組、竹組 生活科(理科工作)「じぶんのすき・お気に入りをみつけよう」
2年松組 体育「よんすくみおに」 ・2年竹組 国語「スーホの白い馬」
3年松組 創造探究「明日の自分」 ・3年竹組 国語「お気に入りの場所、教えます」
4年松組 音楽「より美しい2部合唱を求めて『友だちはいいもんだ』」 ・4年竹組 図工「ふくらむつながる」
5年松組 社会「歴史『日清戦争』」 ・5年竹組 算数「比とその利用『割合の表し方と利用のしかたを考えよう』」
6年松組、竹組 創造探究「卒業研究発表会に向けて」
公開授業②
教科を絞って2回転目の公開授業を行いました。
3年松組 理科「スライム研究発表会」 ・3年竹組 体育「タグラグビー」
4年松組 道徳「絵葉書と切手」 ・4年竹組 図工「ふくらむつながる」
5年松組 国語「想像力のスイッチを入れよう」
シンポジウム
「探究的な学びの問いづくり」をテーマに、宝仙学園小学校の研究主任である中村先生がファシリテーターになり、二人のゲストティーチャーと対談しました。はじめにゲストお二人の考える問いづくりに関する内容をお話しいただきました。
野中 潤先生(都留文科大学 教授)
今年度、北九州市にある敬愛小学校にて出前授業をされた中野先生の「やまなし」を切り口に、"言葉選び"の難しさと大切さについて問いかけました。また、Briskという生成AIを活用して「やまなし」の文章中から小学校6年生が感じそうな問いを出していく方法をご紹介されました。たくさん問いを立てることによって深まる場合も多いため、"量"も大切ではないかと提案されました。
中野 裕己先生(新潟大学附属新潟小学校 教諭)
そもそも"探究とは?"小学校学習指導要領解説から引用して改めて全体に提示されました。"その教科らしい材"との出会いによって生まれる自然発生的な"その子"の問い。教師が発問をすることで児童生徒の問いが起動する。子どもの問いになりそうな反応を広げる。その様な関わりが教師として必要なのではないか。問いづくりを目的とした問いは、児童生徒と材が乖離してしまう可能性の危うさについても触れられました。
シンポジウム
教師の関わり方は小中高大、年齢にもよって変わってくるのではないか。大学生の卒論レベルになると、自分達で材を選ぶ様になる。材の中から問いを作る必要がある一方で、問いづくりのレッスンは総合探究などの時間でも佳能ではないか。問い作りの手法としてQFTについても触れる。一つの俳句で50個の問いをつくるなど、情報量を落としてからのレッスン。
教科の中で教えるべき事がある中で、どの様に探求していくのか?例えば教える事をやめる。教えるべき事が明確かつ狭いと探求にならない。中核的な概念。国語という科目は教えなければならない事を手放しやすい。本当に教えなければならない事は何なのか。これから先の未来を考えたときに、今ある教科書だけから離脱する必要もあるのではないか。改めて学習指導要領の「教科の目標」に立ち返る事も大切ではないか。
参加者から
「自然発生的に問いを持つような子どもに育てるために、先生方が普段から大切にしていること、小学校でおすすめの活動はどんなことでしょうか?」
シンプルだけれども"待つ事"。提示したら待つ、出したら待つ。
好奇心をどんどんできる様な対話の場。生成AIなどのツールを使うと何でも質問ができる環境ができる。
「今回問い作りにA Iを使ってるクラスが多くありましたが、どう感じていますか。」
すぐには満足する回答がないかもしれないけれども、使い続けることを通じて可能性を探ることが必要な時代。
人間と生成AIとの違い、特に"記号接地"という点については考えておきたい。
カリキュラムマネジメントも含めて余白を作る事も大事ではないか。児童生徒が没頭できる授業設計が大切なのではないか。
分科会
①野中先生ルーム
3年国語 授業者振り返り・講師による授業フィードバック・講師 講話「探究的な学びを支えるICT活用」・参加者 意見交流タイムという流れで進行されました。授業についての振り返り後は「対話型生成AI」をテーマに共有ノート上で沢山問いを生み出すワークを行いました。その後でQFTの手法についても触れながら問いづくりのポイントをお話しされました。
②中野先生ルーム
2年国語 授業者振り返り・講師による授業フィードバック・講師 講話「探究的な学びを支える対話」・参加者 意見交流タイムという流れで進行されました。教えた事は必ずしも児童生徒が学んだ事とは一致しない、という事を前提に参加者同士も意見交換をしながら本日の授業について振り返りました。
③宝仙小ルーム
宝仙での探究的な学び 実践紹介・「2年生 生活科の実践」「3・4年 創造探究の実践」・宝仙への質問タイム・参加者 意見交流タイムという流れで進行されました。宝仙小学校での具体的な探究活動の実践や、生成AIの活用などについても紹介されました。