【授業見学レポート】英語科における「探究的な学び」と「自己調整学習」の実践~高松中央高等学校 山村先生実践紹介~(2026年3月4日)

高等学校では次期学習指導要領で、「各教科における探究的な学び」の実践が強く求められるようになっている見込みです。
ロイロ認定ティーチャーである、高松中央高校の山村先生は自己調整的な学びが難しいといわれる英語科において、生徒が自律的かつ探究的に学ぶ姿勢を、学年を横断して段階的に育成する取り組みを実践しておられました。この記事では山村先生の実践をご紹介します。

学年ごとに段階的に探究スキルを育成する
スピーキングの活動など、生徒に演習を強いることも時には必要である英語において、最初から自由に探究をさせると、生徒ごとの取り組みにかなり大きな差が生まれることが予想されます。
そこで山村先生は学年に応じて段階的に自己選択や探究スキルを育成するカリキュラムを実践されていました。

1年生:「学びのスタイル」の選択と自己調整学習の基礎がため
1年生では2学期の終わりまでに「生徒が自分で計画を立て、自律的に学習を進められる状態」にすることを目標とし、学びがデザインされていました。
教員から与えられたことをこなすだけではなく、自分自身で学びをコントロールできる学習者の育成を目指されていました。

1学期:タスクシートを使った学び
レベルの異なる課題が記載された「タスクシート」をロイロで配布。生徒は早い者勝ちで取り組むタスクを選択します。
教員は共有ノート上に配置された生徒ごとのタスクシートをチェックして、生徒の進捗をチェックします。
2学期:ルーブリックと逆算思考の導入
2学期では、自己調整的な学びをさらに一歩進めるために、プレゼンテーションのルーブリックを事前に渡し、そこに向かって準備を進めさせます。
提示されたゴール(ルーブリックやポイント)と残り時間から逆算し、「今日はここを終わらせる」と自分で計画を立てて実行する力を養います
教員は共有ノート上でクラス全体の進捗を確認しながら授業を進めます。

3学期:「基礎知識」と「探究」の選択制
生徒自身に「基礎知識の定着」と「探究」のどちらに取り組むかを選択させます
この際にも、教員は生徒の進捗を共有ノート上で確認しながら、多様な取り組みを行う生徒の様子を見とることができていました。

基礎知識の定着
iPadのルーレット機能やChatGPTで作成した4択問題を用い、ランダムに出題される問題に連続正解するゲーム感覚の学習で知識を定着させます。基礎知識の定着を図るグループも、受動的な学びにはせず、自ら課題を見出して学びを進められるように授業を設計されていました。
教員は共有ノート上で各自の課題の取り組みの進捗を確認することができていました。
探究
探究を選択した生徒は「スポーツ」などの単元テーマに基づき、自分なりの課題解決に取り組みます。
例えば、中学校時代ハンドボール部だった生徒は、「女子がハンドボールができる環境が少ない」という現状に問題意識を持ち、ハンドボールができる環境を増やすために、各学校にゴールを設置するクラウドファンディングをおこなうアイデアを提案しました。この際、実際に高松市内の中学校におけるハンドボール部の有無を調べたり、ハンドボールのゴールの値段を調べたりといった情報収集をおこない、まとめていきました。
この取り組みでも教員は共有ノート上で生徒の進捗を「課題と仮説の設定」「情報収集」などの段階ごとにまとめて確認をすることができていました。

2年 自由度の高いアウトプットと探究の実践
2年生からはより探究活動のウェイトをたかめ、さらに主体的な学びを進めていきます。

1学期:探究と基礎知識の定着の両立
1学期では、1年の3学期では選択制であった取り組みの両方を行う形になります。

基礎の定着
共有ノート上に用意された進捗シートに従って生徒が自分のペースで基礎を定着させます。
1年次と同様、教員は共有ノート上で進捗の管理ができるため、クラス全体を見通しながら授業を進めることができます。

3つのタスクから選んで探究
探究も、1年次と違って、生徒が形式を選べるようになっています。
「登場人物の人生を時系列でまとめる」「単元に関連する内容を自分の価値観に結びつけた自由英作文を書く」「単元の内容に対する自分の意見をプレゼンテーションをする」という3つのタスクのうち、どれか1つに取り組み、探究活動を実践します。


2学期:自己調整スキルの感情と学びの自走化
2学期からは自己調整的な学びをさらに推し進めて、学び方そのものを生徒が決定していきます。さらに、探究のアウトプットの形も生徒が自分で立案することになるので、非常に多様なアウトプットがつくられます。

多様なアウトプット
探究のアウトプットの形式が選択制であった1学期と異なり、2学期ではアウトプットの形は生徒に委ねられます。生徒は、「植物の栽培と観察記録」といった教科横断的なレポートや、実際に海外の生徒と交流をおこない、その体験をまとめたレポートの提出、さらには英語学習アプリの開発など、自らの形式にしたがいさまざまなアウトプットを主体的に作成することができていました。

学びをささえる学習計画書と振り返り
2年生の2学期では生徒はかなり自由度の高い探究を実践します。
自由度が高すぎる探究活動は時に放任にもつながり、基礎の定着が進まなかったり、生徒ごとの取り組みに大きな差がでてきます。そこで、山村先生の授業では、学習計画書と学校独自の指標を用いた振り返りを活用することによって、教員がうまく伴奏しながら生徒が探究的に学ぶ取り組みが実践されていました。

「学習計画書」を用いた目標と計画の設定
まず最初に教員から、長文の教科書本文の概要を3〜4行程度で説明し、生徒に大まかな内容を理解させます。
その後、 生徒自身が「テストまでに何を頑張るのか(探究的な目標や、テストの点数を上げるなどの目標)」という"なりたい姿"を設定します
目標を達成するために「どんな力が必要か」「具体的にどうやっていくか(AIや教員の活用など)」を計画書に記入します。この際、最終的な提出物の形式(新聞形式にするのか、ノートに書いたものを出すのかなど)も生徒自身に決めさせます
学校独自の指標「IMPACT」をつかった振り返り
授業の振り返りは、学校の目標である「IMPACT(インディペンデンス/自立性、道徳性、情熱、行動力、コミュニケーション能力、タフネス)」という指標を授業に落とし込んでおこないます。
授業の最初に、「今日は情熱(パッション)を頑張る」「今日は1人で自立して頑張る(インディペンデンス)」など、その日意識して取り組む項目を生徒にチェックさせ、 授業の終わりに、最初に設定した「IMPACT」の項目をどれくらい使えたか(発揮できたか)を星3つで自己評価させます。
さらに、「学んだこと・気づいたこと」「改善点」「次回は何をするか」を毎回振り返らせます
学期全体の振り返り
学期末には、学期全体を通して「目標が達成できたか」「学んだこと」「一番の課題は何か」を振り返り、最終的な提出物として出させます。
このように、2年生の2学期では、生徒に学習内容のアウトプットを委ねるだけでなく、「自分で目標を立て、計画し、実行し、振り返る」という自己調整学習のプロセスそのものを可視化し、毎回の授業でそのながれを定着させることができていました。

山村先生の学びのねらい
国が推進する「探究的な学び」において、ICTの活用は「情報収集」や「整理・分析」の質を高め、個別最適化された学びの時間を創出するとされています。
山村先生の実践では、教員による一斉指導は最初の1〜2時間にとどめ、その後は生徒がCanvaやChatGPT、共有ノートなどのICTツールを駆使して自律的に学習を進めており、教員は知識の伝達者から、生徒の学習をサポートするファシリテーターへと役割を変化させています。
探究的な学びでは、コンテンツだけでなく、どのような資質能力を授業の中で培っていきたいかによって設計が大きく異なります。山村先生は、この活動を通じて、英語力だけでなく生徒が自らの学びを設計・選択するスキルを身につけることを目的としておられました。

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