【LEGイベントレポート】NDX研究会・LEG新潟合同イベント「ICTパーフェクトセミナー2025 SUMMER 自由進度学習〜教師の見取り・子どもの学び方〜」(2025年9月6日)
2025年9月6日に開催されたNDX研究会とLEG新潟のイベント、「ICTパーフェクトセミナー2025 SUMMER 自由進度学習〜教師の見取り・子どもの学び方〜」のイベントレポートです。
参考リンク LEG新潟
【基調提案】自由進度学習を語る!ー最近の流行り?!自由進度学習について深める
自由進度学習に関する著作もあり、自由進度学習を実践されている荒濱先生から、自由進度学習についてお話しいただきました。
基調提案
荒濱 豊樹先生(城南学園小学校)
質問・議論
稲葉謙太郎先生(新潟大学附属長岡小学校)
高野和明先生(新潟市立真砂小学校)
アイスブレイク:つながりを作ろう
自由進度学習では生徒同士が主体的につながりを作ることが重要になってきます。
最初にアイスブレイクも兼ねて、周囲の先生方とお話しいただく時間をとり、周囲の先生方とつながりを作って行くことができました。
提案:自由進度学習をどのように進めるのがいいか?
荒濱先生から、より良い自由進度学習はどのようなものか問いかけられるとともに、荒濱先生が実践されている自由進度学習の一つの形である、「ロイロバース」を体験していただきました。
「なんちゃって自由進度学習」への警鐘
自由進度学習は、児童生徒が主体的に学ぶ力を身につけるのに効果的である一方で、ただ、形式をなぞるだけの「なんちゃって自由進度学習」になってしまっていないかと、問いかけられました。
「問い立て」を考えるー「なんちゃって自由進度学習」脱却のためにー
自由進度学習の目的が形骸化された「なんちゃって自由進度学習」を脱却するための一つのポイントとして効果的な「問い」を設定することの重要性が提示されました。
先生が「問い」を押し付けるのではなく、児童生徒が「違和感」や「課題感」を感じ、単元全体を通じて、児童生徒自身が「問い」を見出す授業設計にすることで児童生徒が主体的に学びを進める自由進度学習になることをお話しいただきました。
複線化された授業について考える
自由進度学習を実現するためには、教員が児童生徒の取り組みや思考の多様化を受け入れ、授業の「複線化」を意識することが大切になります。ロイロバースの取り組みも含めて、児童生徒が相互参照しながら見方・考え方を身につけていく複線化授業のエッセンスについてお話しいただきました。
また、一斉授業は複線化する授業と二項対立になるものではなく、一斉授業であったとしても、児童生徒の多様な思考を引き出したり、児童生徒の取り組みや思考の揺らぎや多様性を許容するものであれば、複線化した授業が実現できることをお話しいただきました。
放任にならないためにー子どもの見取りについてー
時に児童生徒の放任主義になってしまう自由進度学習に対して、「子供たちを深く見取る」ことで子供達に委ねながら、放任にならない授業づくりのポイントについてお話しいただきました。
例えば、児童生徒が1人で作業をしていても、共有ノート上で他の児童生徒の意見を参照しながら学んでいたら、その児童生徒は協働的に学びを進めていると言えるかと思います。机間巡視や、共有ノート上の児童生徒の取り組みの観察によって児童生徒のストーリーを一人一人見取ることの重要性をお話しいただきました。
質問・疑問で学びを深める
荒濱先生のお話を受けて、参加された先生方同士で問いの設定や、自由進度学習の進め方についてお話しいただきました。お話しされていく中で気づいた内容はロイロバース上にも記載してくださいました。
また、質問・議論担当の先生方から荒濱先生に質問を投げかけることでさらに多角的に学びを深めることができました。
【実践紹介&提案】教師の見取り&子供の学び方の提案
新潟市立上所小学校の梶山先生と、新潟市立新津第二小学校の長谷川先生から、教師の見取り・子供の学び方の視点から自由進度学習について実践紹介と提案をしていただきました。
教師の見取りー子どもの何を見て教師がどう関わるかー
発表者 新潟市立上所小学校 梶山先生
多様な特性や学力をもつ児童生徒がいる状況で教師がどのように児童を見取り、クラス全員が学びに参加できる授業づくりのために対策をやっていったのか、小学校5年生の社会の授業を題材にご説明いただきました。
教員が児童の表情や行動、全員が資料を見れているかなどに目を配りながら、学びに参加できていない児童がいれば、学びに向かう姿勢や取り組みについてアドバイスを行うなど、丁寧な見取りと教師の行動でクラス全員が学びに参加できる授業実践についてお話しいただきました。
さらに、授業動画を録音し、教師と児童の発話量を分析することで、児童の主体的な学びが進んでいるかを定量的に評価する取り組みについてもお話しいただきました。
子どもの学び方ー児童生徒一人一人が自らの学び方を大切にするー
発表者 新潟市立新津第二小学校 長谷川先生
児童が自ら学び進めるために、一人一人が「学び方」を身につけるにはどのような取り組みが必要か、実践内容をお話しいただきました
児童に無計画に委ねてしまうことで起こりうる問題やリスクに触れつつ、児童が学習形態を自己選択し、学習活動を自己決定できるようにするためにどのような環境を提供していったのか実践的にお話しいただきました。
また、ロイロの生徒別共有ノートも活用し、児童が相互参照を進めながら児童同士で自己解決しながら学びを進めていった実践についてお話しいただきました。
全国の先生方と学ぶ!自由進度学習の具体例に迫る!模擬授業
新潟市内の先生方から、自由進度学習が体験できる模擬授業を実施していただきました。
また、模擬授業に対して、全国の先進的な先生方がコメントをされることで、より学びを深めることができました。
理科:水溶液の性質 (南 暁大先生(新潟市立赤塚小学校))
まずは一斉授業でこれまでに学んだ内容を復習し、その後、自由進度学習で水溶液について自由に実験を行なっていく授業実践を体験させていただきました。
実験計画を たてる
水溶液の性質について学んだ後、4種類の無色透明な液体を分類していく方法について実験計画を立てます。
「匂いを嗅ぐ」「リトマス試験紙を使う」など、どのような実験を行っていくのかをシンキングツール上で考えました。
実験を行う
計画ができれば実際に実験を行います。実際の実験の際には、「火を使っていい場所」「話し合いをする場所」など、理科室の中にそれぞれの活動ができる場所を設定して実験を進めていきます。
実験がどこまで進んでいるかは、教諭ノート上の進行表で、児童自ら名前カードを動かしていくことによって表明します。それによって、教員は各児童がどこまで実験を進めているのかを把握することができ、児童同士も「誰がすでに実験を終わっていて結果を共有したいと考えているか」を確認して相互参照を行うことができます。
コメンテーターからのフィードバック(白百合学園小学校 壁谷祐亮先生)
実験中などは、安全指導が必要であり、各自の実験に合わせて準備をすることが困難であったり、概念形成が児童だけでは難しかったりなど、自由進度学習が進めにくい側面もある理科の授業で自由進度学習を進めていった南先生に対して壁谷先生からフィードバックをしていただけました。
また、「月の運動」をテーマに壁谷先生自身が考えた自由進度学習についてもご紹介いただいて、「各自が実験を進める準備がしにくい」「概念形成が児童だけでは難しい」といった課題をどのように乗り越えていくのかもご提案いただきました。
算数:正多角形と円 (山上拓郎先生(新潟市立桃山小学校))
正多角形と円をテーマに生徒別共有ノートも活用しながら、算数の自由進度学習を体験させていただきました。
学び方・学習内容を一斉授業で提示
児童に単元全体の学習計画を提示した後、まずは自由進度学習における学びの進め方や、なぜそのような学びを行う必要があるのかを全体に説明します。その後、その時間に学ぶ内容を5分から10分程度で一斉授業を行います。
児童は学んだ内容をもとに、その日できるようになりたいことや、学びの進め方を自ら設定して、学びを進めます。
生徒別共有ノートで学びを進める
計画を立て終わったら、生徒別共有ノート上で学びを進めていきます。教員は生徒別共有ノートで各児童の進捗を確認できるほか、教員が共有設定を変更することで、必要に応じて児童は他の児童のノートを参照することができます。
児童は学習計画表と進捗を照らし合わせながら自らの学びを調整していきます。
コメンテーターからのフィードバック(金尾 義崇先生 敬愛小学校)
まずそもそも、「自由進度学習」は何のために必要なのか、問題提起をされるとともに、自由進度学習は決して新しい学びのスタイルではなく、江戸時代の松下村塾では行われていたことにも触れ、本質的な概念を他教科以上に掴みにくい算数での自由進度学習についてお話しいただきました。
学習活動に「どのような意図があるのか」「なぜその学びを実施するのか」を何度も問いかけられるとともに、児童一人一人が本質的な学びに自律的に到達できる問い立てについてお話しいただきました。
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