シンキングツールセミナー 公立高校での取り組み(藤原先生&須之内先生)

シンキングツールセミナー 公立高校での取り組み(藤原先生&須之内先生)

ロイロ認定ティーチャーから学ぶシンキングツール実践!
2020.07.18(土)

今回は公立高校での実践についてご紹介します!
ポイントは、「 公立校の単独導入」「 公立校でのBYOD」。愛媛県の2つの公立高校から2名の先生をお招きしました!
藤原清人先生(愛媛県立松山工業高等学校) ▶︎本日の資料はこちら
須之内智彦先生(愛媛県立松山南高等学校) ▶︎本日の資料はこちら

⬆︎当日の動画はこちら⬆︎

愛媛県立松山工業高等学校
松山工業高校、実は学校独自で1 to 1(1人1台) LTE iPadを導入している学校なのです!導入についてを教えてもらいました!

1 to 1(1人1台)への道のり

1to1(1人1台)への壁・不安もたくさんありました。
教員が端末を使いこなせるのか?
県がやる事業をなぜ一公立高校がやるのか?
費用負担はどうする?
Wi-Fiの費用は?    などなど

そこで、1to1(1人1台)実現への優先順位を考え、協議や研修を重ねました。
教員研修案をご紹介します。
教員の業務改善をテーマに、シンキングツールを使ってみようという研修です。
研修タイトル「学校の業務改善のキャッチコピーを考えよう」


シンキングツールを使った実践例
【機会科】「乗り物の速度を測ろう!」
授業の導入部分でシンキングツールを活用
Step1 イメージマップ:「乗り物」の種類を書き出す(左)
Step2 Yチャート:動く場所によって乗り物を分類する(右) ツール切り替え

【工業科】「溶接技術を取得しよう!」
溶接している場面を撮影し、動画を共有して気づいた点を共有する
Step1 イメージマップ:友達の作業動画の改善点を書き出す(左から2つめ)
Step2 ダイアモンドランキング:改善する順番を決める(右から2つめ) ツール切り替え
Step3 キャンディチャート:改善にむけどうすればよいかを考える(右)

【ロボット大会】「優勝したロボットに学ぶ」
自分たちと大会で優勝したロボットを比較し、改善につなげる
Step1 イメージマップ:自分たち/優勝校のロボットの特徴を書き出す(左)
Step2 ベン図:自分たちと大会で優勝したロボットの特徴を比較する(左から2つめ) ツール切り替え
Step3 ダイアモンドランキング:優勝校だけの特徴から、自分たちの改善点を絞り込む(右から2つめ) ツール切り替え
Step4 キャンディチャート:優先度の高い改善点を実現するための仮定を考える(右)

【生徒会活動】「自然災害による臨時休校を考える」
臨時休校措置について、生徒視点での提案を立案する
Step1 PMI/KWL:学校の規定を読み取り時系列にまとめる(左)
Step2 イメージマップ:臨時休校のイメージを書き出す(左から2つめ)
Step3 ダイアモンドランキング:臨時休校の問題点に順位をつける(右から2つめ)
Step4 くらげチャート:解決に向けた提案を作成&発表する(右)



愛媛県立松山南高等学校
松山南高校では、生徒のスマートフォンを用いてBYODが進んでいます!授業やホームルーム活動でのシンキングツール活用法を教えていただきました!

休校中の取り組み

ホームルームでの活用事例(休校中)
自分と異なる考えにふれ、多様性を認め合うことを体験的に学んでほしい。そのために・・・
「回答共有」をON]にしておいて、誰でも見られる状態にしておく
「批判禁止」などのグランドルールを共有しておく

伝達ツール
健康観察票
学習時間記録表(生活記録表)
朝の挨拶と連絡事項(毎日)

コミュニケーション ツール
ホームルームのお題(不定期、2日に1回程度)
「お手伝い宣言」 
「休校期間中の一枚と一言」(左画像)
「学校と休校中」(右画像)

学級活動の時間
Step1 事前に動画を配信し、視聴させておく
Step2 時間になったら、トピックについてのシートを配布する
「人間/AIの適正」
「ポストコロナ社会をイメージしよう」
「これからの社会に求められる人材」
教科学習での活用事例
高校3年 地理B「世界の衣食住」→比較地誌
各自が調べた国の情報クラスで共有し、2つの国の情報を比較する
Step1 Xチャート:自分の担当する国の「基本情報・衣・食・住」について調べる(左)
Step2 ベン図:自分/クラスメイトが調べた国を比較する(右)

シンキングツールの活用とは・・・
考えをつくり出す
これからの社会で主体的に生き方を選択肢、可能性を広げていくために必要


ワークショップ「教員の仕事を仕分けしよう」
Step1:普段、職員室や準備室でやっているお仕事を書き出そう!
イメージマップ(広げる)
なるべくたくさん、思いつくまま書き出す
提出箱をのぞいて他の方のアイディアを参考にする
Step2:視点に沿って、仕事の内容を仕分けする  ツール切り替え
シンキングツールを切り替えることによって、異なる視点で書き出したアイディアを見渡すことができます
座標軸(順序付ける、比較する)
縦軸=「優先順位高/低」、横軸=「個人/共同」

Step3:「もしも、この仕事がなかったら?」を考える
キャンディーチャート(見通しを立てる、予測する)
Step2の「仕事」カードから1〜3つ選び、「もし〜なら」の部分におく
もし〜なら(左)、どうなる(中央)、なぜなら(右)を想像して記入する
Step4:書き出したカードから1つ選んで、その仕事の影響を箇条書きする
くま手チャート(多面的に見る)

Step5:仕事の意義、リスクを考える
同心円チャート(変化をとらえる)
中心の円=Step4で取り上げた仕事を書いたカード
中心から2つめの円=Step4で書き出した「仕事の影響」について書いたカードを配置
Step6:宣言する!!

仕分けとは・・・・
単純にその仕事を「やめる」ことではない
仕事のリスク管理、仕事の意義を見つめ直す


先生たちに Q and A
Q:LTEのメリットは?
A(藤原先生):ズバリ、どこでもつながることです!
LTEは高価というイメージをもっている先生が多く、Wi-Fiでいいのではといわれました。
でも、LTEであればいつでもどこでインターネットが使えることや、家庭にインターネット環境がない生徒もいることからLTEでお願いしました。

Q:通信料金はどのようになっていますか?
A(藤原先生):
通信料金、端末代金、アプリ代金すべて利益者負担です。先生方にも端末+通信料金をお願いしています。
最初は反対も多かったのですが、今では納得していただいています。
保護者の皆さんには、値段相応の教育効果と使用頻度を感じていただけるよう、日々努力しています。
愛媛県の県内公立高校では、本校だけが遠隔授業の取り組みを行っているということで、かなりの評価をいただきました。
端末+通信料金等は契約する会社によって違いますし、契約数等によっても違うのでキャリアさんに相談してみてください。

Q:工業高校のICT教育のココがすごい!また、改善点はありますか?
A(藤原先生):
やはり1人1台、とにかく自由に使えることです。座学だけでなく、実習や部活動、課外活動、家庭学習でもたくさん使っています。
改善点としては、教科によって活用に温度差があることでしょうか。あと男子が多いということで破損も多いです。結構割ります(~_~;)

Q:シンキングツールと紙媒体のノートとの効率的な活用の仕方はありますか?
A(藤原先生):
個人的な意見ですが、シンキングツールを活用すれば考えを作り出す過程ではノートはほとんどいらないかなと思っています。
ノートは学習内容の記録に使用し、大事なところは写真に撮ってシンキングツールに貼り付けて参考にしながら考えを深めるって使い方はどうでしょう?

Q:手配や管理は大変ですか?
A(藤原先生):
初期設定、破損の交換手続+初期設定等は教員がやらないといけないので大変です。
国や県には端末の調達+支援員等の人にもお金を使ってほしいですね。

Q:トラブルや指導は大変ですか?
A(藤原先生):
最初は、昼休みや部活動中は使わせるのかなど細かなことを気にしていました。
でも、せっかく端末が一人一台あるのだから細かなことは言わずにある程度自由に使えるようにしました。
休み時間等も自由に使えますし、放課後も自由です。授業中黒板等の写真撮影も先生の許可があればOK。SNSはできないようにしています。
あまり細かいことを言うと先生もしんどいですしね。

Q:ロイロノート・スクール&Zoomでファシリテーションのような授業はできますか?
A(藤原先生):
遠隔授業(休校時に行った授業)がまさにそれだと思います。
まず個人で考え、ブレイクアウトセッションでグループ討議、先生は各班に入ることができるのでちょこちょこのぞいてアドバイス、グループの考えをまとめてシンキングツールにまとめては発表、みんなで共有って感じです。慣れれば生徒もかなり話し合いをしてくれますよ^^

Q:BYODに関して、個人のスマートフォン利用だとパケット代は個人負担ですか?
A(須之内先生):
通信料に関しては、ご家庭に負担していただいています。
全校生徒に調査を行い、Wi-Fi環境が整っていないご家庭等に対して、学校の端末を貸し出す等の対応をしているケースもあります。

Q:BYOD利用のルール整備はどのようにすすめられましたか?
A(須之内先生):
元々、校内におけるスマートフォン等の使用は禁止しています。
休校期間を経て、授業内で使用する場面も増えていますが、現在も授業以外での校内における使用は禁止です。
また、校内におけるBYOD端末の充電も禁止しています。


hr
◆藤原先生からのコメント・お知らせ
本日のセミナーを通して、公立高校単独でもOne to Oneが実現できるということ、ICTは「学びの幅」だけでなく「教えの幅も広がる」ということが伝えられればと思いました。シンキングツールの「使い方」にこだわらず、とにかく使ってみることだと思います!生徒だけでなく先生の視野がグーンと広がります。

【オンラインでの学校見学会やります!】
8月18日(火)& 19日(水)開催


◆須之内先生からのコメント
うまくいかなかった取組もたくさんあるし、理解してもらえない場合もありますが、チャレンジは必ず前進に繋がります。
教師自身が成長するとことで、子どもたちに還元できることも確実に増えていきます。
大人が失敗していることや意見が分かれていることを子どもたちに見せることも、子どもたちの成長につながると思います。

シンキングツール には、それ自体にすごく魅力があります。
思考することは、学びの深さを深めてくれるとともに、個人の可能性を倍増させてくれるツールだと思ってます。
思考している生徒たちの姿は病みつきになります♪ちょっと変えてみる、ちょっと使ってみる、ちょっと共有してみる。
これが半年後、1年後にはものすごい成長になっているはずです!

LoiLoからのお知らせ
7月31日(金)、8月7日(金)、8月14日(金)の19時からを開催します!
シンキングツールアドバイザーの先生方と一緒にシンキングツールをつかった授業案を作成できるイベントです!

その他のセミナー・イベント情報
無料で参加できるセミナーがたくさんあります!

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