シンキングツール大研修会「夏のシンキングツール祭り」第3回

シンキングツール大研修会「夏のシンキングツール祭り」第3回

2020.08.14(金)19時〜

オープニング
夏のシンキングツール祭りのフィナーレ!
3回の研修(祭り)で参加者に与えられたのは「子どもたちが新しい考えを作り出す授業案を作成しよう!」というMISSION。
黒上先生のレクチャ、シンキングツール アドバイザーとの交流を経て完成した授業案。
最終回となる今回は、その中から選ばれた授業案を発表します!

【これまでのふりかえり】
シンキングツールとは、新しい考えを作るサポートツール
新しい考えをつくる(知識を活用する)授業に変えていく
シンキングツールを使うことが目的ではなく、子どもが新しい考えを作り出す場面設定を考える
発散=情報量を増やすこと
Xチャート、Yチャート、Wチャート
収束=情報を整理すること
プロット図、ダイアモンドランキンング、ピラミッド、ベン図など


優秀授業案発表
参加者が作成した授業案の中からアドバイザーが優秀授業案を選定しました!
各教科の優秀授業案を黒上先生とアドバイザーの講評とあわせて紹介します。
黄緑色のハイライト部分が単元のピークを示します。
画像をクリックすると拡大できます。


【国語】
不破花純先生(森村学園初等部)
小学3年「すがたをかえる大豆」
パフォーマンス課題:本文を読んでわかりやすい説明文の書き方を学び、オリジナル食材説明書を作ろう
展開1:本文を読む
展開2:文章構造を理解する
Wチャート
展開3:調べる食材を1つに決める(グループ)
ウェビング、ダイアモンドランキング
展開4:食材について調べて項目別に整理する(グループ)
Xチャート、Yチャート、Wチャート
展開5:説明文を各(個人)
ピラミッドチャート、PMI
展開6:オリジナル食材説明書をまとめる(グループ)
〈アドバイザーからの評価ポイント〉米田先生(愛徳学園中高等学校)より
多彩なツールをいかして、学年や習熟度を問わずに使うことができる授業案
単元全体の流れがわかりやすく、児童に思考を促す計画になっている

〈黒上先生からの講評〉
読みの部分から「調理法」「効果」などの異なる視点が入ってくるまで間をどのようにつなぐのかが重要
調べた後、単元の終わりで何をまとめさせるのかが重要
はじめに全体をピラミッドチャートで整理しておくと、終わりがブレずに進められるのではないだろうか
hr
【数学】
齋藤マヨネ先生
高校「確率の問題を解く」
導入:自分のつまづきポイントとその対策を考える(クラス共有)
ウェビング、ダイアモンドランキング
展開1:問題文からわかることを抜き出し書き出し、式にする(グループ共有)
展開2:問題文からわかることを抜き出し書き出し、式にする
座標軸、フィッシュボーン(クラス共有)
展開3:解くための思考順を整理する
ウェビング、くまでチャート、くらげチャート
問題を自作する・・・クラス共有
展開4:作問した問題を解きあう
くまでチャート、くらげチャート(グループ共有)
展開5:振り返り
〈アドバイザーからの評価ポイント〉近藤先生(仁川学院高等学校・数学科)
問題を解くうえでの思考を整理させるとことがGOOD!
思考整理に至るまでのプロセスがどの単元にも応用できるのがGOOD!
思考の見える化の具体的方法もGOOD!
普段の授業の延長で思考を生み出すことができる

〈黒上先生からの講評〉
問題からわかったことを解法につなげるところでメタ認知が求められる
協働的な学びの活動としてGOOD!
hr
【英語】
吉村眞由美先生
高校1年「新型コロナ感染拡大の世界に教科書から発信」 少人数クラス、ZOOMで行う想定
高校生レポーターになって、世界の人々に日本の伝統食を伝えよう
Introduction:教科書の内容理解、文法学習
展開1:Retelling
くまでチャート、くらげチャート、フィッシュボーン
展開2:Cooking(グループ)
ウェビング、座標軸
展開3:Introduce local Japanese food to the World(グループ)
座標軸、くらげチャート、くまでチャート
展開4:Feedback
展開5:Evaluation
データチャート
〈アドバイザーからの評価ポイント〉徳千代先生(ECCアーティスト美容専門学校)
シンキングツールの使用がシンプルかつ最小限にとどめられていてわかりやすい
発散と収束のバランスがGOOD!
自宅(オンライン授業)でも使える!

〈黒上先生からの講評〉
Retellingから先の発展活動が面白そう
ルーブリックを生徒に細かく示す必要がある
news caterの役割を与え、コンパクトな時間で考えを主張させるているのがいい
マルチメディアの活用ができる
hr
【理科】
氏家拓先生(根室市立厚床中学校)
中学3年「自然と人間  生物と環境」
導入:根室にいる生物は?
ウェビング
展開1:生物どうしの食物をめぐる関係は?
座標軸(1軸)
展開2:生物同士の数量関係は?
ピラミッドチャート、ウェビング
展開3:エゾシカと共存する方保は?
ウェビング、PMI
展開4:対策の実効性は?
座標軸
〈アドバイザーからの評価ポイント〉中野先生
多面的な考えを生み出しながら、自身の考えへと導く道筋ができている
自身の考えを高めていく収束へと導いていくことができる

〈黒上先生からの講評〉
多様な生物と人間との関係を考えるところで2部構成になっている
思考のプロセスを促す流れになっている
終わりで発散にもっていくこともできる(世界の状況との比較など)
hr
【社会】☆最優秀授業案☆
上白石修先生  ←遠隔教育実践者、北方領土を10年以上研究
中2地理「北方領土におけるロシアと日本の共生を考える」
展開1:北方領土に暮らす人、帰りたい人の気持ちを想像する
ベン図
展開2:資料や動画をもとに実際の思いにふれてみる
Yチャート、ミラミッドチャート、ダイアモンドランキング
展開3:元島民も現島民もそれぞれの思いを生かした、持続可能な共生の方法を提案する
座標軸、情報分析チャート、フィッシュボーン、PMI
展開4:出来上がった提案書を元島民や専門家に検証してもらう
情報分析チャート
展開5:分析を加えたうえでの提案書を完成させ、内容を発表する
フィッシュボーン、バタフライチャート
〈アドバイザーからの評価ポイント〉廣畑 先生(愛徳学園中高等学校)
思考を促すために適切なシンキングツールが使われている
日本人の視点だけでなく、多面的に考えさせることができる授業展開になっている

〈黒上先生からの講評〉
知識、視点がない状態でウェビングはかけない。ウェビングの書きっぱなしでは意見にならない
最初の自由記述を最後に書き直すとよいかもしれない
バタフライチャートを使う場面で、想定される反対意見を可視化しておく必要
子どもたちが自分の考えをつくって、次の活動に進んでいく流れになっている

〈最優秀授業案に選んだ理由〉黒上先生より
子どもたちが意思決定・判断をする場面が設定されている
先生が子どもたちにやってほしいことがうまく隠れている(伏線のおきかたが秀逸)
授業をやって終わりでじゃなく、今後の学びを見据えた展開になっている

〈最優秀授業案採択を受けて 上白石先生コメント〉
TV会議などを用いた授業で、学んだことが言葉で残せないのがもったいないと思っていました。
そこで出会ったのがロイロノート・スクールです。
思考が可視化され、学んだことがいつでもすぐに振り返れるというのは、子どもたちにとって大きな財産になります。
今後、ロイロノート・スクールの協働編集機能が開発されれば、共有活動がより充実させられるのではないかと期待しています!
hr
【その他】
榎本昇先生(森村学園初等部)
小学3年・総合的な学習「デジタルブックを作ろう〜私たちの学校のある町を紹介する〜」
パフォーマンス課題:
「普段から給食の材料などでお世話になっている長津田商店街のみなさんから地域の人々に長津田の町について、もっと知ってもらいたいというお願いを受けました。そこでプログラミングの学びを活用してインタラクティブなデジタルブックを作ります。商店街の方々が喜び、地域の肩が楽しく町について学べる作品を提案しましょう。」

展開1:単元のねらい、学習の見通しをつかむ、Springin’の特徴を確認する
Yチャート、座標軸
展開2:地域調べ・資料まとめ
ウェビング
展開3:デジタルブックのテーマを考える
座標軸→ダイアモンドランキング
展開4:グループでアドバイス
PMI
展開5:デジタルブックの構成を考える
ピラミッドチャート
展開6:Springin'でデジタルブック制作
展開7:グループでアドバイス(修正)
PMI
展開8:発表・振り返り
PMI
〈アドバイザーからの評価ポイント〉西尾 先生(学校)
パフォーマンス課題、ゴールが明確
単元全体の流れがしっかりして、授業の組み立てがわかりやすい
ピークの課題「構成を考える」ことが面白い
同じシンキングツールであってもうまく使い分けができている

〈黒上先生からの講評〉
デジタルブックを構想しはじめる段階で、表現手段を考えながら「何が伝えられるか」を意識しておく必要がある
全体の流れにつながりがみられてGOOD!

閉会式
【黒上先生より】
このイベントで行った授業案作成の中でわかったこと、気づいたことをぜひ今後にいかしていってほしい。

【和田先生より】
他教科の素晴らしい授業案をたくさん見ることができ、大きな学びが得られた。
今日がゴールではなくスタート。シンキングツールを使った、いい授業とは何かという問いを根本的かつ新しい問いが見つけられた。

【お知らせ】
「おかわりセッション」に参加しませんか?
今回作成した授業案を紹介するWebページを作成する
「夏のシンキングツール祭り(全3回)」にすべて出席された方
8/21(金)19時〜 Webページ作成
8/28(金)19時〜 作成したWebページの発表会


交流会
参加者の声
いろんな先生の授業案が見られたことが大変勉強になった。
自分の教科以外の視点が得られたのが新鮮だった。
普段、他校の先生と交流できる機会が少ないので、外から刺激をうけるよい機会となった!

アドバイザーの声
他教科の授業に触れることで視野が広がる。
アドバイザーとしての役割を意識するようになってから、自分で授業を作る際に足りていなかった部分に気づくことができた。(生徒視点で活動を捉える、活動・授業・単元での到達点など)
プロット図の使い方がよくわかった。
これまでは不安を抱えながら授業でシンキングツールを使ってきたが、多くの先生の授業案にふれることで、自身で納得のいく授業案のヒントが得られた。
生徒に何を考えさせたいのかが授業の組み立て方の軸になることが改めて実感できた。
自分のこだわりが授業の核となることがわかった
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