中2 美術 くしろカラーハント~地域の色で、今のくしろ・これからのくしろを表現してみよう~【実践事例】 (北海道教育大学附属釧路中学校)

中2 美術 くしろカラーハント~地域の色で、今のくしろ・これからのくしろを表現してみよう~【実践事例】 (北海道教育大学附属釧路中学校)


基本情報
授業担当者更科 結希
ICT環境1人1台タブレット
学年 / 教科中学校2年生/美術
単元「くしろカラーハント」表現
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〈実践の概要〉
本単元(題材)は、学校周辺から土を採取し、水干の技法で色を抽出し絵具を作り、その色を使って「住んでいるからこそ感じられる釧路」をテーマに主題を生み出し表現する授業である。コロナ禍の臨時休校明け、体験的な活動をたくさん経験させたい思いと他教科の視点を取り入れ、地元くしろを様々な角度から見つめ直し、表現に結び付けられる授業を目指し実践した。生徒それぞれが主題を生み出し表現していくことは個人的な活動になりがちであるが、他者の見方や考え方が、表現の工夫や悩みの解決に有効であり、ロイロノートへの蓄積や生徒間交流といった機能を活用し、主体的・対話的で深い学びに繋がるよう取り組んできた。

〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
色の元になる土壌調査の際に記録収集と絵具作りの経過を記録し、他教科の視点を確認するために効果的であった。
主題を見つけるために、他者が考える釧路を知り、自己の考えを深めていく際に、カードの交流やアドバイスを行うことができる。
制作過程を、1時間ごと表現の結果を撮影したものとその時々の目標に照らし合わせた振り返りを記入し蓄積することができる。

〈実践の目標〉
土から絵具を採取できることやその絵具の色あいなどを試行しながら、表現したいことを全体のイメージや部分で捉え、表現が感情にもたらす効果を理解する。
地域を見つめて、今や未来のくしろを住んでいる視点で考え主題を生み出し、創造的な工夫しながら構成したり、構想を練ることができる。
自分の暮らしている地域を見つめ、表したい想いを膨らませ、美術の創造活動の喜びを味わいながら、主体的に学習活動に取り組もうとする。

〈授業写真〉

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〈場面1〉学校周辺の土を採取
くしろをテーマに表現活動を行った。学習課題は、「釧路に住んでいるからこそ感じる良さを見つけよう」とし、観光目線ではなく住民目線で感じる魅力を探した。地元を表現するために画材も地元から作ることとし、学校の周辺を散策して、地層の見られる場所から土を採取し、水干して鉱物を取り出し水干絵具を作った。

〈場面2〉採取した土から絵具を作る
採取調査から水肥絵具の試し塗り、色名の決定までの経過はロイロノートで記録し、学級全体で共有した。水干絵具を作る過程では、取り出した鉱物はルーペで確認して、火山灰が多く含まれていることが分かり、1年時の理科での学習が生かされる場面が多くあった。各班で採取した土から作られた絵具は4~7色ほどあり、どれ一つも同じものがなく学級全体で共有して使用する色とした。

〈場面3〉主題を生み出し、表現方法は選択し表現していく
生み出された主題には「雪どけの春」や「幻想的で高大な自然はキラキラと」「固有の文化と発展の融合性」「のびのびとした自然」などがあった。そうした主題を表現するための表現方法は平面と立体の選択できるようにした。色は各班から集められた約30色を中心に扱い、既に所有している絵具の発色との違いについても理解しながら表現していった。

〈場面4〉表現の改善をしながら
表現の過程をロイロノートで蓄積することによって、前時の活動を振り返り本時の目標を設定し活動することができた。主題を表現するための対象の捉え方や色彩の強弱などの効果を確認する試行を重ねてきた。その中で、表現に迷う場面も生じるため、その際にはロイロノートで途中経過のレポートを作り、生徒間通信を用いて他者の作品へのアドバイスも行ってきた。

〈場面5〉地元の美術館で、市民に向けた展覧会を開催
完成した作品は、市民の方に鑑賞いただくために、地元の美術館で授業の展覧会を開催した。多くのコメントが寄せられた。「釧路らしさの着目点が多様で、何一つ同じものがないので見ていて飽きませんでした」「自分たちで採取した土から釧路の色(自分たちの色)を使って自分たちで名前を付けたそうで、とても素敵な取り組みだと思いました」などである。展覧会では授業の経過をロイロノートで蓄積していたものを展示した。

〈授業写真〉
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