中1 中2 数学 式の計算 / 1次関数【実践事例】(早稲田大学高等学院)

中1 中2 数学 式の計算 / 1次関数【実践事例】(早稲田大学高等学院)

早稲田大学高等学院
吉田 賢史教諭・八百幸 大教諭
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学習者ひとり一人が授業をつくる!
〜ロイロノート・スクールとBYOD環境でつくる学びの空間〜

ロイロノート・スクールを活用して、生徒が創る学びの空間で、潜在記憶に残る授業を実現します。

数学の学習において、生徒は教員が示した解法を覚えようとする傾向が強く、特定の解法に絞ろうとする言動が多く見られます。
そこで、教員の解答の丸暗記を防ぐため、教員が模範解答を示さない授業展開の試みをロイロノートを用いておこないました。
まず、教員は問題演習用のプリントをPDF化した後、ロイロノートで生徒に配信し、「できるだけ、わかりやすく解答を記述すること」という条件を与え、生徒にその問題をノートに解答してもらいます。
生徒は、解答したノートを(スマホなどの)写真に撮り、ロイロノートを使って提出します。
教員は提出された解答の中から、特徴的な解答を表現方法に留意してピックアップします。
授業においては、提示された解法をすべてノートに書き写そうとする生徒がいるため、書き込みデータは後で送信すると伝え、解法を1つずつ提示します。提示された解答を、解答した生徒以外の生徒に解説してもらい、「疑問が残る」、あるいは「わからない」という生徒に疑問点をクラスで共有しながら、その疑問点を解決するための議論を重ねます。
この実践により、教員が示した解法を覚えようとしたり、特定の解法に絞ろうとしたりする生徒の数は、減少しました。

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ロイロノート導入のメリット

授業空間において対面でしかおこなえない形態をベースに展開できる点がメリットであると感じています。

以前は、ノートの写真をLMSやメールなどで回収し、Keynoteなどのスライドアプリケーションに貼り付けて見せていましたが、授業前に回収した解答をそのまま活用でき、授業中に加筆したものをそのまま共有できる点が大きなメリットとなっています。

板書を写す(すなわちイメージデータをノートに複写する)という授業を受けて知識を得たと勘違いしている学習者は少なくなったと感じています。

定期考査においても教員や問題集の解答を(イメージデータとして)解答用紙にコピーするような解答は減少しました。


実践の目標

解答の書き方にはいろいろな記述方法がある(認知特性はひとり一人異なる)

試験で○をもらうためには、担当教員の認知思考特性に合わせる必要がある

試験で○をもらっても、万人に伝わるか否かは判断できない

以上のことを意識して、解答を記述できるようになる。


実践の場面

1. 課題を提出する
教員は問題演習用のプリントをPDF化し、ロイロノートで生徒に配信して、生徒はその問題をノートに解答する。
教員が問題を配付する際には、「できるだけ、わかりやすく解答を記述すること」という条件をつけておく。
この条件をつけることで、解説の工夫が促され、思考表現特性の差異の特徴が現れやすくなる。

2. 特徴的な解法をピックアップする
教員は提出された解法の中から、特徴的な解法をピックアップする。
ピックアップの際は、正誤の基準ではなく、解答の表現方法に留意する。多様な表現方法を提示することで、生徒自身の解答を表現することへの抵抗感は軽減される。
抵抗感を軽減させるための特徴的な解法は、生徒自身にとって「わかりやすい」解答とは何かを意識させることにつながると考えている。

【注意】名前は、「無記名」に設定してからピックアップする。

3. 解法をシェアする
教員の画面をスマートフォン、あるいはタブレット、 パソコン(Windows 10)で共有する。
この際、提示された解法をすべてノートに書き写そうとする生徒がいるため、共有時に書き込んだデータは後で送信すると伝えておく。そうすることで、ディスカッションの内容に耳が傾けられ、潜在記憶に残りやすい。

4. 解法を議論し合う
教員が解答の1つをピックアップし、解答者とは異なる生徒に解説をしてもらう。その解説を聞いて、「疑問が残る」、あるいは「わからない」という生徒に疑問点を挙げてもらう。その疑問点を解決するために、解答に何を付け加えたらよいかを問いかける。さらに、解説した生徒には「解釈しがたい場所はなかったか」と問いかける。
このような議論を重ねながら、解答をよりわかりやすいものへと改善していった。

5. 教師の認知思考特性を予測する
ピックアップした解答の中から、「数学の教員の好む解答はどれか」という問いかけをする。すると多くの生徒が、教科書や問題集、参考書に似た解答を選択する。
しかしながら、このステップで重要なことは、教員の認知思考特性を知らせることに留めず、相手が異なれば、他の解答も十分に伝わる解答であることを意識させることである*。

6. リフレクション
生徒は自身と教員の思考特性の差異をノートにまとめ、提出する。
提出するノートには、自分のわかりやすい解答と数学の教員が好む解答を記載し、自身の解答のよい点・教員が好む解答との相違点をノートにまとめる。

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