小3 体育科 跳び箱運動 自己や他者を客観的に見るためのICT活用【実践事例】 (深圳日本人学校)

小3 体育科 跳び箱運動 自己や他者を客観的に見るためのICT活用【実践事例】 (深圳日本人学校)


基本情報
授業担当者長野 恭史
ICT環境2人1台タブレット 2クラス1台電子黒板
学年 / 教科小学3年生/体育科
単元跳び箱運動
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〈実践の概要〉
体育科の跳び箱運動の単元である。本実践では、個別最適化学習レベル3(本校が定義した個別最適化学習の階層性より)を目指した。目指す跳び方を確認し、そこから自分の課題を作り、動画で自己分析を行った。また、児童相互に踏み切り、空中動作、着地の視点をもとに話し合うなどの活動も取り入れた。成果として、個別に学習の蓄積ができたこと、蓄積したことを学習者自身が自己評価につなげられたことがあげられる。課題として、自己分析するための準備(主に動画撮影)に時間がかかり、運動量の確保がいつもよりもできなかったことがあげられる。

〈電子黒板やロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
①電子黒板に個人の動画を映し出し、全員で確認したことで、踏み切り、空中動作、着地といった視点の共有がしやすくなった。
②ロイロノートに動作の動画をおさめることで、ふり返りがいつでも比較しやすくなった。また、学習の蓄積だけでなく、参考にしたい跳び方の友達の動画を送り合うことで、自己分析の活用の幅が広がり、体育の学習を深めることができた。
③体育の参考資料(動画を含む)を児童のロイロノートに配布することで、児童一人一人が手軽にそれを確認し、めあての確認等に活用することができた。

〈実践の目標〉
①運動に進んで取り組み、きまりを守り仲よく運動したり、場や器械・器具の安全に気を付けたりすることができる。
②自己の能力に適した課題をもち、技ができるようにするための活動を工夫できる。
③基本的な支持跳び越し技(切り返し系、回転系)をすることができる。
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〈場面1〉第1次【オリエンテーション】
ロイロノートを使った学習の進め方(自分のめあてを考える、基礎感覚作りの動き、跳び方分析などの共同学習、ふり返りや次時のめあてを考える)を確認した。また、共通学習(開脚跳び、台上前転)と発展学習(閉脚跳びを含む)を設定し、単元のイメージを持たせた。

〈場面2〉第2次【開脚跳び、台上前転の習得学習】
ロイロノートで参考となる資料(開脚跳び、台上前転の静止画や動画)を各個人に送り、技のイメージを持たせた上で、それぞれのめあてを考えさせた。めあての視点は踏み切り、空中動作、着地の3点である。次に、それぞれが技に取り組む動画を撮影し合い、課題点を交流した。その際、自分が参考にできる跳び方の動画をそれぞれが送り合い、比較し合うことで、技のイメージや考えるポイントなどを深めさせた。

〈場面3〉第3次【自己の成長の発表】
ロイロノートを使って、今回の跳び箱学習における成長ポイント(スタート時の跳び方と学習後の跳び方の比較)を発表させた。それぞれがどんなめあてをもち、どのように取り組んできたかを相互に学び合い、技の習得だけでなく、思考力の深め合いを行った。

〈授業写真〉
写真1:交流                        写真2:比較・自己分析

〈成果と課題〉
成果としては、具体的な自分の姿のイメージが難しい体育科において、動画撮影、データの送受信、学習物の蓄積が今までの学習形態よりも自己分析の深まりにつながったことである。データの送受信が児童同士での意欲的な比較や積極的な交流の支えとなった。また、学習の蓄積によって、単元を通した学びのふり返りが可能となり、自己肯定感の高まりにもつながった。課題としては、練習量や運動量が減ってしまったことである。小学3年生という発達段階で、ログインやデータの提出などは回を重ねるにつれ、スムーズになっていった。しかし、ロイロノートを活用したことで、思考面や主体的な学習態度の高まりを感じるものの、撮影が主となっている児童がいること、資料を作り上げること(※今回のふり返りは、紙に書いたものを静止画で納めさせた)に時間を要する児童がいたことで、その部分の支援が必要になってしまった。新しい学習スタイルということもあり、授業者における授業改善や課題は多いと感じるが、ロイロノートの活用の有効性も感じられた。
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