小5 国語 新聞を読もう【実践事例】(開智学園総合部(開智小学校))

小5 国語 新聞を読もう【実践事例】(開智学園総合部(開智小学校))

開智学園総合部(開智小学校)
松本 敦教諭
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2つの新聞を読み比べて、その共通点や相違点から日本語の特徴を見出します。

本校では2月の学習発表会で、小学5年生全員が新聞記事を書き、来場者に販売するという試みを続けています。そのためには、新聞独特の表現や文章構成を学ぶ必要があります。本時では、2つの新聞の同一記事を読み比べ、その共通点や相違点を見出し、日本語の敬語表現への理解を深めました。
授業内で使用する機能はカメラのみ。原則として、すべてプリントに手書きで考えをまとめ、それを写真で撮り、提出箱に送ったものを全員で共有します。「書く」時間を確保しつつ、さまざまなものの見方や価値観に瞬時に触れることができます。

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ロイロノート導入のメリット

瞬時に全員の回答・考えを共有することができるため、国語のように解答のパターンが多様な教科であるほどその効果を実感しました。

ロイロノート・スクールの簡便さにより、共有に要する人数や授業時間の制約を越え、充実した学び合いが実現できました。

手で書いたものを撮影して送るという方法により、「書く力が損なわれるのではないか」というタブレットで挙げられがちなデメリットも解消できました。


実践の目標

皇室を扱った記事から、日本語の敬語表現を見つけることができる。

2つの新聞記事を読み比べることで、同一の内容を扱った記事であっても伝えられる情報や読み手に与える印象が異なることに気づける。

ロイロノート・スクールを使用して他者の考えを共有することで、新しいものの見方に触れることができる。


実践の場面

1. 新聞記事を読み比べる
2014年10月29日に来日したオランダ国王夫妻を天皇ならびに皇族が迎えた記事を比較した。対象としたのは、産経新聞と朝日新聞。産経新聞では皇室への敬語表現が多く使われていたが、朝日新聞ではほとんど見られなかった。
新聞記事を引用したプリントを音読し、同一内容の記事であっても、使用される敬語表現に大きな差異があることに気づくことができた。



2. 敬語表現に印をつける
2つの新聞記事の中に登場する敬語表現に、マーカーで印をつける。その後、印をつけたプリントをカメラ機能で撮影し、提出箱に送る。



3. 自己と他者の回答を共有する
提出箱に送られた回答を、教員が「回答共有する」を押すことで全員が閲覧できる状態にする。他者の解答(回答)と自分の手元にあるプリントを比較し、新しいものの見方や知識を獲得する。
天皇や皇族の後ろに「陛下」「さま」、名詞の前に「ご」、動詞の後ろに「れる・られる」が接続していることを共有できた。



4. 敬語の種類の解説
「陛下」が天皇、「さま」が皇族全般に使われる敬称であること、接頭語(接頭辞)「御(お・ご)」の使い分け、「御~になる」よりも尊敬の助動詞「れる・られる」が新聞における尊敬表現として多く使われることを確認した。
本来、「陛下」は天皇だけでなく皇后にも使用される敬称であるが、平成時代においては「皇后さま」の呼称が一般化したことにも言及した。



5. 資料・写真を送る
敬称の実例を確認するために、宮内庁ホームページ上の「皇室の構成」(系図)の写真を教員が保存し、「送る」機能を使って全体に送る。
新聞では使用されていないが、皇后を除く皇族には「殿下」を使用するのが正式な敬称であることを確認するとともに、「親王」「内親王」「女王」といった皇族の身位が新聞では表記されないことも補足した。



6. 課題プリントの演習・共有
ここまでの授業内容を受け、「日本と海外の皇室・王室への敬語使用のちがい」を考える。日本の天皇や皇族に敬語が使用されていることはわかったが、同時にオランダ国王夫妻に焦点を当てて考えることにした。
児童が分析すると、外国の王室には敬語が使用されていないことに気づく。日本の新聞は、日本の皇室のみに敬語を使用している事実を発見した。



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