理科教育シンキングツール活用方法

理科教育シンキングツール活用方法

理科教育に、なぜシンキングツールが必要なのか?
学習指導要領概要
理科では、「なぜ?」という疑問から課題を解決する活動が活動の中心となります。この中では、「情報の収集、整理、比較、解釈」といった思考のプロセスが連続的に行われます。また、科学的な事実をもとに、社会的課題に対する解決策を導き出すことも学びの重要な要素です。

シンキングツールを使うと、情報を視覚化し、選択し、順序をつけることが簡単になります。これにより、課題解決のための思考過程をサポートします。そのため、理科の授業でこれらのツールを活用することは、「科学的思考」をより高度で有意義なものにします。

理科において育成したい能力
実験から得られたデータ、または既存の情報や知識を基にして、新しい結論や仮説を導き出す能力
自然科学を取り扱う理科では、実験や観察を通じて新たな気づきを得ることや、個別の現象から、普遍的な概念を導き出すことが求められます。
理科の用語や記号を暗記するだけでなく、「情報を比較したり、組み立てたりすることで、論理的に考える」という「科学する姿勢」を身につけることが求められます。

設定した課題や社会の問題に対して、さまざまな角度から解決策を考える能力
気候変動やエネルギー問題など、自然科学での分野が、大きな社会的な問題につながっています。
そのため、理科教育でも、社会的な課題への解決策を考えることが求められます。
社会的な問題に対して多角的にアプローチすることで、児童生徒は新しい視点や価値観を発見し、それが自己の成長や社会的な責任感の形成にもつながります。

シンキングツールで育成できる力
思考を可視化するシンキングツールを活用することで、下記の能力を育成することができます。

科学的な探究心
理科の学習では実験や観察を通じて、自ら仮説を立て、検証し、結論を導く能力を養うことが重要であり、実験観察において、実験結果や観察記録を正確に記録し、データを分析して科学的な結論を導き出す力が求められます。
シンキングツールで思考を可視化することで実験結果や観察記録から得た気づきをより具体化しやすくなります。それによって、科学的な探究心を育成することにつながります。

論理的思考力および問題解決力
理科の学習では、論理的な思考プロセスを通じて問題を解決する力を育てることも重要な目標の一つであり、情報を整理し、関連付ける能力や、結果の妥当性を考える能力が重要視されています。
シンキングツールを活用して、思考を可視化することで論理的な思考力および、問題解決能力の向上につながります。

自然への関心と理解
自然科学を取り扱う理科では、自然の仕組みや現象に対する興味を深め、環境保護の重要性を理解することも目指されています。
シンキングツールを活用して、身の回りの現象や物質、生物への理解を深めたり、重要性を具体化することによって自然への関心と理解をより深めることができます。

思考力・判断力・表現力
現行の学習指導要領では、教科の活動を通じて、思考力・判断力・表現力を育成することが求められています。
シンキングツールをつかって児童生徒の思考を可視化することができるため、理科の学習においても、児童生徒は自らの気づきを可視化したり、実験結果を深く考察していくことで新しい考えをうみだしやすくなります。これにより、科学的な概念と多角的に向き合うことが可能になります。

どのように教科教育に取り入れていくべきなのか?
基本的な活用方法
思考の発散と収束
シンキングツールを使った授業デザインにおいて、思考の「発散」と「収束」が非常に重要な概念となります。

「発散」:自由な発想や創造的な思考を促すこと
「収束」:発散によって集まった情報の中から必要なものを選択したり、順序立てたりする活動


授業の中で児童生徒が自らの考えを作っていく際には、この「発散」と「収束」が連鎖的に繰り返されていきます。先生が授業をデザインする際には、思考の「発散の場面」と「収束の場面」を意識的に、バランスよく取りいれることを意識することで、児童生徒が自ら考えをつくりやすい授業を作ることができます。

例えば、「発散」の場面が強くなりすぎると、思考が拡散しすぎて、児童生徒は自らの考えをまとめることが難しくなります。逆に、「収束」の場面が強くなりすぎると、児童生徒の創造性が制限されてしまい、新しい考えが生まれにくくなります。

シンキングツールで思考を可視化することによって、発散と収束を効果的に行うために有効な手段です。教師は、児童生徒の理解度や目的に合わせて、適切なツールを選択し、効果的に活用することが重要です。

能力育成の活用例
実験での活用
実験の場面では、シンキングツールを活用することによって児童生徒は自分の思考を可視化し、考えをまとめていくことができます。
参考リンク
環境問題への解決策を考える
環境問題の解決策を考える際にもシンキングツールは有効です
プロット図を使うことで、争点となっている項目が明らかとなり、社会問題への解決策が考えやすくなります。

参考リンク


各シンキングツールの具体的な活用イメージ
各シンキングツールの具体的な活用イメージをまとめます。自分自身の授業にシンキングツールを取り入れる際の参考にご参照ください。

順序付ける(基準をもとにして情報を並び替えることで思考を促す)
#座標軸 #ダイアモンドランキング
比較する
#ベン図 #データチャート #座標軸  #ダイアモンドランキング

分類する
#Yチャート #Xチャート

関連付ける
#ウェビング

多面的に見る・多角的に見る
#バタフライチャート #フィッシュボーン #PMI #くまでチャート



理由付ける
#くらげチャート #データチャート


見通す
#フィッシュボーン #キャンディチャート #KWL  #情報分析チャート


具体化する
#ピラミッドチャート


抽象化する
#ピラミッドチャート

構造化する
#ピラミッドチャート #情報分析チャート

要約する

変化をとらえる
#同心円チャート


授業事例
分野ごとの分類
#エネルギー/ #生命/ #粒子/ #地球/ #その他
校種・学年ごと
小学校
小学校 生活科 2年【大すきな生き物を育てよう】 
小学校 理科 3年【磁石のふしぎ】
小学校 理科 3年【音のふしぎ】
小学校 理科 3年【豆電球にあかりをつけよう】
小学校 理科 4年【ものの温度と体積】
小学校 理科 4年【ものの あたたまり方】
小学校 理科 4年【もし、小学校4年生が堤防工事の監督なら?】
小学校 理科 5年【台風の動きと天気の変化】
小学校 理科 5年【ふりこのきまり】
小学校 理科 6年【アイランド攻略法を考えよう】
小学校 理科 6年 【水溶液の性質】
小学校 理科 6年 【地球に生きる】
小学校 理科 6年 【生き物のくらしと環境】

中学校
中学校 理科 1年 【生物の分類~身の回りの生物を紹介するデジタルパンフレットをつくろう~】
中学校 理科 1年  【圧力 不思議な水槽】
中学校 理科 1年 【植物の仲間分け】
中学校 理科 1年 【植物のなかま分け】
中学校 理科 1年 【大地の変化】

中学校 理科 2年 【生物の移り変わりと進化】
中学校 理科 2年 【栄養分を取り入れるしくみ】
中学校 理科 2年 【雲発生装置を創ろう!】
中学校 理科 2年 【天気の要素を理解して天気予報をする。】
中学校 理科 2年 【動物の分類 オリジナル動物王国】

中学校 理科 3年 【オリジナル電池を考えよう!】
中学校 理科 3年 【琵琶湖の生態系をどのように捉えるべきなのか?】
中学校 理科 3年 【自然と人間 エゾシカと共生する方法は?】
中学校 理科 3年 【オリジナル電池を考えよう!】
中学校 理科 3年 【チョコレートの科学】
中学校 理科 3年 【環境 自然と人間】

高校
物理基礎
高校 理科 物理基礎 【Save our future】
化学基礎
高校 理科 化学基礎 【酸と塩基】
生物基礎
高校 理科 生物基礎 【私はいつ生まれ変わるの?】
高校 理科 生物基礎 【臓器提供意思表示カード】
高校 理科 生物基礎 【恒常性・自律神経のはたらき】
高校 理科 生物基礎 【エネルギーと代謝 ~酵素を深く考える~】
地学基礎
高校 理科 【生命の変遷】 

物理
高校 理科 【新しい光学装置を発明しよう】
高校 理科 【物体の運動】
高校 理科 【光の粒子性 〜歴史と共に、科学者たちの苦悩と奇跡を一緒に体験しよう〜】
高校 理科 【京大入試最頻出問題を分析して、高得点ゲット!】

化学
高校 理科 化学 【コロイド溶液は地球環境を救う!】

生物
高校 理科 生物 【なぜ残像が見えるのか?!】
高校 理科 生物 【バイオテクノロジーで暮らしを豊かに!】
高校 理科 生物 【それってホントに『3:1』!?】
高校 理科 生物 【遺伝子検査を利用する?】
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