実習の「見える化」が授業を変える。愛知県立安城高校に学ぶICT活用の工夫

取材日:2026年1月26日


愛知県立安城高等学校は、普通科と生活文化科を併せ持つ、地域に根ざした伝統校です。同校では現在、「ロイロノート・スクール」の活用が県内でも特に進む学校の一つです。
なぜ、同校でICT活用が浸透したのか。そして、数学や家庭科といった、ICTとは一見距離がありそうな科目でどのような変化が起きているのか。ICT推進を担っている石川貴行先生(数学科)と、生活文化科で専門教育を担当する山根華子先生に伺いました。

現場の「自然な波」から始まったロイロノートの活用
――安城高校は県内でもロイロノートの活用率が非常に高くなっています。最初に、導入から浸透していくまでの経緯を教えてください。
石川先生: 私が特別なリーダーシップを発揮して「使いなさい」と強制したことは一度もなく、最初はなかなか活用されていなかったというのが正直なところかもしれません。
大きなきっかけは、以前の勤務校でロイロノートを使いこなしていた先生が異動してこられたことでした。その先生が自然に活用されている姿を見て、「こんな使い方ができるんだ」と他の先生方も興味を持ち、少しずつ波が広がっていったんです。


――活用のノウハウはどのように共有されているのでしょうか。
石川先生: 年に一度、他の先生の授業を自由に見学できる機会を設けています。そこでの気づきが大きく、ICT活用が日常的な授業改善の延長として位置づけられていったのだと思います。その積み重ねが、結果として高い活用状況につながっているのかもしれません。
例えば、私が担当する数学科でいうと、小テストの実施やこれまで授業中に指名して口頭で確認していた「理解度の把握」を、ロイロノートの『提出箱』に置き換えました。
全員の回答が手元で一覧化されているため、理解していない生徒がいるかどうかを把握でき、生徒への個別のフォローがしやすくなりました。プリントを刷らずにPDFで配布できるのも業務効率化につながっています。

――他の先生の授業で印象に残っているものはありますか?
石川先生: 歴史や公民の授業ですね。先生があらかじめ提示したい資料をロイロノート上でカードにしておくことで、教科書や資料集を行き来する必要がなくなり、授業の説明を途切れさせずに進めることができます。生徒は、複数のカードを矢印を使って一本の線でつなぎながら整理できるので、論理の流れを理解しやすくなっているように感じました。
また、「総合探究」の授業では、進路に関して調べ物をしてグループで発表を行ったり、生徒自らがアンケート機能を使って調査を行ったりしている様子が印象的でしたね。

――生徒たちの反応はいかがですか。
石川先生: 紙に鉛筆で書くより、タブレットにタッチペンで書くほうが何だかワクワクしますよね。そういった面も含めて、学習に意欲的になっている生徒が多いと思います。


実習の手順をタブレットで確認。教卓を囲まない授業づくり
――ここからは山根先生に伺います。まずは生活文化科について教えていただけますか。
山根先生: 生活文化科は、衣・食・住、そして保育や福祉といった「生活」に関する専門科目を深く学ぶ学科です。2年生からは「ファッション」や「調理」など、分野ごとの選択に分かれ、より専門性を高めていきます。
単に知識を学ぶだけでなく、実際に手を動かす「実習」が非常に多いのが特徴です。卒業生は、食物や被服系の大学・専門学校へ進学して管理栄養士やパティシエ、ファッションデザイナーを目指す生徒もいれば、保育や看護の道へ進む生徒もいますね。

――今日見学させていただいた「ファッション造形」の授業も、まさにその専門性が発揮される場でしたね。スカートづくりでは、どのようにロイロノートを活用されましたか。
山根先生: 今日の授業では、主に手順の確認に活用していました。スカートの製作、特にウエスト部分の縫い合わせやファスナー付けは工程が非常に複雑です。以前は、私が教卓で実演するのを生徒たちが囲んで見るスタイルをとっていましたが、後ろの方の生徒は手元が見えなかったり、自分の席に戻った瞬間に手順を忘れてしまったりすることがありました。
今は私が作成したカードを事前に生徒の端末へ送っていますし、授業ではロイロノートを通してモニターに資料を映し、注意すべきところに印をつけながら説明をしています。
生徒は自分のタブレットで、「ファスナーと布との位置関係」や「針を落とす位置」などの写真を拡大して、作業中に手元でも正解を確認しながら進められます。わざわざ手を止めて私のところへ聞きに来る必要がないので、クラス全体の作業効率が上がったと思います。


――過去の授業資料を自分のペースで振り返りながら作業を進めていた姿も印象的でした。ロイロノートを活用するようになったきっかけは何だったのでしょうか。
山根先生: 実は、最初は授業ではなく「修学旅行」での活用がきっかけでした。旅先での急な予定変更や連絡事項を、カードを作成して生徒や先生方に伝える手段として使っていたんです。そこで、ロイロノートの利便性を実感し、「授業でも使える」と思いました。
以前の学校ではあまり活用しておらず、デジカメで撮影した動画をプロジェクターにつないで見せていました。しかし、ロイロノートなら、私が作成した手順のカードを生徒の手元に一斉送信できます。生徒は自分のペースでカードを見返しながら、ミシンをかけたり、服を作ったりできる。教える側としても、手順がカードとして蓄積されているため、説明や個別対応がしやすくなり、非常に効率的となりました。

――授業における、生徒とのコミュニケーションにも変化はありましたか?
山根先生: はい。クラスには、積極的に発言はしないけれど、静かにつまずいている生徒が必ずいます。ロイロノートなら、そんな生徒の状況も可視化されます。
例えば、出張などで私が授業に立ち会えないときでも、「家でここまで進めました」という写真をロイロノートの「提出箱」に送ってもらうようにしました。すると、締め切りの時間に間に合っているかが分かりますし、写真からフォローすべきポイントも見えてきます。

――「指導の記録」としての価値も大きいそうですね。
山根先生:そうですね。生徒がどこで悩み、私がどのようにアドバイスしたのかが、すべてログとして残るのも有難いです。これは「しっかり指導した」という教員側の安心感にもなりますし、何より「自分自身がどんな授業を構成し、生徒がどのように反応したか」を後で客観的に振り返り、次年度の授業をより良くするための財産になっています。


――最後に、導入を検討している、あるいは活用に悩む先生へメッセージをお願いします。
石川先生: 先生方がまず「楽しんで使ってみる」ことが一番だと思います。実は本校では、忘年会のクイズ大会でもロイロノートを使いました(笑)。そんな身近なところから「これ便利だな」と実感することができ、授業での活用アイデアにつながっていきます。やっていくうちに「次はこんなこともできる」と、可能性は無限に広がるはずです。

山根先生: 今では、もし異動した先の学校にロイロノートがなかったら困る、と感じるほど欠かせないツールになっています。生徒の小さな変化を見逃さず、指導の質を上げるためのパートナーとして、ぜひ一歩踏み出してみてほしいですね。


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