(岩手県立大船渡高校)生徒の自由な発言を引き出します【実践事例】

(岩手県立大船渡高校)生徒の自由な発言を引き出します【実践事例】

基本情報
授業担当者小田島新
ICT環境生徒の個人持ちスマートフォン
学年 / 教科高校 / 数学
単元2次関関数
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〈実践の概要〉
2次関数の一般形を板書し平方完成させる小テストを行った。でき次第ロイロノート・スクールを使ってノートを撮影し、カードを提出箱に提出させた。提出された解答をiPadで見ながら個別に間違っている生徒にはその場で指示を与えて直させることが出来るのもロイロノート・スクールならでは。その後、2通りの解答をプロジェクタで比較表示し、定数項が通分されているもの、されていないものを写して、「判別式が入っている」ことに気付かせるペアワークを行う。そして、座標を通して「判別式の正負により、グラフとx軸の共有点の個数が変わる」ことを確かめた。

〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
小テスト等での提出箱への一斉解答提出は、個別指導が教卓にいながら出来るので非常に便利です。
その場で一人一人に声をかけ、直すことが出来るのも生徒には好評です。
さまざまな意見を全生徒が見ることが出来るのは非常に大きな利点です。
通常、上位の生徒が「それっぽい」答を発言すると、「大体同じです」「それ以上良い答ではないので、遠慮しておきます」的な発言が多く、結局意見が1つしか出ない、なんてことも良くありましたが、今ではフリー発言や、指名発言じゃないときはロイロノートを使い、生徒の多様な意見を引き出すツールとして有効に使わせていただいております。苦手な生徒の「ハッ」とする意見を見逃さない、褒めるきっかけにする、という意味でも良いと思っています。

〈実践の目標〉
生徒がふと感じる疑問に対し、発問を工夫することで、教室を「思考の渦」に巻き込み、「誤答は宝」「教室は間違う場所」の思想の元、自由に意見を発表し、多様な発言から自分の思考を深め、概念の獲得にたどり着くことを目標としています。

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〈場面1〉2次関数、一般形の平方完成小テスト
黒板に2次関数の一般形を板書し、平方完成をするように生徒に指示します。生徒はノートに解き、ロイロノート・スクールでカメラ撮影し、提出箱に提出します。


〈場面2〉iPadで生徒の解答を確認しながら個別に間違っているところを指示
教卓に座りながらでも、iPadで生徒の解答が確認できるので、一人ずつ見ながら、計算が間違っている生徒がいたら、教卓から直接生徒に「○行目のここの分配で間違っている」等の指導をすることが出来ます。早く終わった生徒は、プロジェクタでiPadを黒板に投影しているので、他人の解答を見ながら自分の解答をチェックさせます。


〈場面3〉定数項を「通分しない」方が良いのか、「通分した方が良い」のか、見比べて考える
生徒の解答は、定数項を通分しない形と、通分した形の2通り出るので、ロイロノートの「比較表示機能」を使い、両方をプロジェクタで投影して見せながら、どちらが良いのかをフリーで考えさせます。

〈場面4〉定数項を通分したとき、その部分に隠れているものは何か(ペアワーク、グループワーク)
通分した形に隠されている、すでにならった名前の付いている「何か」をグループワークを通して探させます。発言はロイロノートの提出箱でさせることもあれば、フリー発言でさせることもあり、グループごとに発言させることもあります。早く見つけたグループには「判別式ってどう使うっけ?」という復習をグループ内でさせておきます。

〈場面5〉グラフとx軸との共有点の数の違いについて、頂点の座標の正負を見ながら、判別式の値の正負がどうなるかグループワークで考える
2次関数のグラフとx軸の共有点が2点あるときは、頂点のy座標は「マイナス」となります。これを元に、平方完成して得られた頂点のy座標が「マイナス」となるためには、判別式の部分の正負はどうなれば良いのか、をグループで考えさせます。出来たときは、「Ⅰ点で接するとき」「共有点を持たないとき」もグラフで考えさせます。

〈場面6〉まとめと演習
グループでまとめをさせ、ロイロノートの提出箱にまとめを書いたノートを撮影させて、提出箱に提出してもらいます。それをみんなで見て、より良いまとめをしているグループの意見を取り入れ、自分なりにまとめます。私がまとめても良いんですが、自分なりに「こういうことがわかった」「暗記で覚えていた判別式の意味がわかった」的なことをまとめることで、より深く振り返りが出来ると考えています。
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