12/12【U-35限定】授業でICT使うって便利なの? 第3回

12/12【U-35限定】授業でICT使うって便利なの? 第3回

#イベントレポート #若手教員
2020.12.12(土)9:00〜10:30

録画動画

〈本日の講師〉
樋口万太郎先生(京都教育大学附属桃山小学校)

本ページの見出し

※ページ内の「万」「Aya」「若」はそれぞれ、「樋口万太郎先生」「樋口綾香先生(池田市立神田小学校)」「若松俊介先生(京都教育大学附属桃山小学校)」を指しています。

授業づくりで意識していること
 シンキングツールをしようすることが授業のゴールではない
シンキングツールは自分の考えをつくり出すための手段
シンキングツールを完成させて終わりではないよ
自分の考えをつくり出すことが始まり!

◆課題例
「個人でまとめる」で終わりでなく、
「教師からの説明」「他者との考え交流」などを通して、自分の考えと比較し、自分の考えが更新される

シンキングツールを用いて比較して終わりではなく、
「気づいたこと」またその共有によって理解を深める。

◆資質・能力育成のために重視すべき学習過程の例
(平成28年4月18日 教育課程部会 算数・数学WG)
赤枠:教科の資質・能力
青枠:1時間の中で実践するべきステップ

◆樋口先生の授業スタンス
単元デザインで①〜③を織り交ぜていくことが重要
 (1時間の授業の中で①〜③をやることもあれば、単元全体を通して①〜③を繰り返すこともある)
① 自分の考えをまとめる
② 意見共有・交流活動
③ 自分の考えを更新する

単元計画を子どもたちと共有する
「単元を通してこういう力をつけていく。そのために、この時間では〜をやりますよ」
Q:事前に単元計画を子どもたちに見せて、何をするか子どもにバレませんか?
万:
単元計画を共有することで、子どもたち自身で学習の見通しをもつことができる。
見せて困る単元計画であればもっと工夫が必要。先行学習をしている子どもたちにとってはつまらない授業ということ。

◆授業づくりの6ステップ

Step1:問いをつくる
Step2:問いベスト3を選ぶ
Step3:「問い解決タイム」
Step4:問いを単元の流れの中に位置付ける
Step5:教師からの課題を与える
Step6:問いについて振り返る

授業例:「海の命」
授業づくり6ステップにもとづいてデザインした単元計画
【シンキングツール課題】
あなたは本屋の店員です。今年の樋口賞(個人的に推したいと選定した本)に『海の命』を選びました。この作品を選んだ理由を書きましょう。

Step1:問いをつくる
本文を読んで感じたことをカードに書き出す。カードの色によって感想の種類を書き分ける


「物語の分析」の各項目にそって、本文内容を整理する

Step2:問いベスト3を選ぶ
ピラミッドチャートを使って、子どもたち自身で「問い」ベスト3を決める
ベスト3を選ぶ過程で、問いが自ずと精査される
TOP3にくる問いは、深い学びにつながりやすい
子ども自身で精査することにより、作品理解につながる気づきが得られやすい

Step3:「問い解決タイム」
各自/グループで問いについて話し合う

Step4:問いを単元の流れの中に位置付ける
問いと単元との関連性を全員で考える
必ずしも正しいこたえがあるわけではない、あとで再度問いについて考える時間があることを伝える

Step5:教師からの課題を与える
課題例
登場人物たちの人物像
なぜ与吉じいさんの弟子になったのか
太一が背負おうとしていた「母の悲しみ」とは何か
村一番の漁師とはどんな漁師か
太一が生涯誰にも話さなかったのはなぜか
太一はなぜ瀬の主を殺さなかったのか

Step6:問いについて振り返る
問いについてあたらためて振り返る

Step7:シンキング課題に取り組む
シンキング課題、本作品における設定をめぐって、講師の先生たちの意見を紹介します。

Aya:
子どもたちが何時間もかけて学んだ内容が発揮できるような課題であるべき
子どもたち自身の人生に結びつけて考えないような内容がよい
先生が言語活動としてやりたいと思ってる活動をもっておくの大事
「選ばれました(読んだことを書く必然性)。その理由は何でしょう?」にすれば、読者の立場でもかけるのでは?
読んだことを通して、他の登場人物からの視点で描くスピンオフ作品の制作も面白そう

若:
必ずしも教科書にある課題にそう必要はない
「作品を通して、10年後の自分にメッセージを送る」などでもいいかも
小学校としての最後の作品なので、1年全体の学習を通しての課題にしてもいいかも?

若:題名に問いを戻すのもいいかも。「いのち/命」

講師の先生に質問  ※Aya、若の記載がない部分はすべて万太郎先生による回答です。
Q:問いづくりからはじめる理由・メリット
問いづくりから学習をはじめると、学習が自分ごとになります
従来のように教師が課題を与える形では、自分ごととしてとらえづらい。

Q:シンキング課題とは?また設定におけるポイント
シンキング課題とは、単元の最後に取り組む課題です。
目的は「単元を通して学習してきたことを活用して〇〇する」を実現すること
教師が単元で身につけさせたい知識・技能を明らかにしておくこと
「最後に活用するには?」という視点をもつこと

Q:初発の感想は書かせないのですか?
感想を書いて終わり、という流れになりがちです。
そこで、初発の感想を課題作りに有効に使えないか?と考えたのが「問いづくり」です。
なので、問いづくりの活動そのものが、初発の感想
Aya:
詩や物語など、仕掛けに気づかせたいような場合には、感想を書かせることもあります。
その場合もはやり、感想を書いて終わり、にならないような工夫が必要ですね。

Q:授業のゴールはどのように設定していますか?
子どもたちと一緒に考えています。
〇〇ができたらA、〇〇〇〇までできたらS のような感じです。

Q:単元デザインにプロット図を用いる理由は?
単元の流れを視覚化できる
ピークに行う活動(子どもに何を考えさせるのか)を設定できる

Q:算数の場合、どのような課題がありますか?
算数が一番難しいです。過去にやった例を紹介します。
作図や縮尺の知識・技能を活用することを目的として、このような課題を扱いました。
「学校をリフォームする予算もらった。リフォームするための設計図を描こう。」

Q:この単元学習でどのようにロイロノート・スクール(シンキングツール)はどのようにいかされるの?
単元デザイン作成の最初の段階では、シンキングツールの活動までは考えません。次の流れで考えてます。
単元全体をデザイン(プロット図)→活動にどの思考スキル(比較・多面的にみるなど)が必要か?→どのシンキングツールが適切か?
(樋口学級の場合)
子どもたちが自分で考えを整理するのに必要だと感じたときに、シンキングツールを使わせる
シンキングツールの選択も子どもたち

次回予告
参加者がプロット図で単元デザインに挑戦!
次回、最終回です。
2020年12月19日(土)9:00〜10:30

これまでの【U-35限定】ICT活用学習会の様子
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