高2 総合 模擬国際会議 「模擬国際会議」で合意形成は可能か?-児童労働の解決に向けて-【実践事例】(上智福岡高等学校)

高2 総合 模擬国際会議 「模擬国際会議」で合意形成は可能か?-児童労働の解決に向けて-【実践事例】(上智福岡高等学校)


基本情報
授業担当者井上賢治・田中隆斗
ICT環境3人1台
学年 / 教科高校2年生/総合的な学習の時間
単元模擬国際会議(2~3学期)
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〈実践の概要〉
14の国と国際NGOの代表として地球規模の課題について協議を重ね、他の国や合意グループとの利害関係を調整しながら互いに承認しあう関係を構築できるかどうかを、実践をもって検証するプログラムです。綿密なリサーチはもとより、合意形成を行ううえで欠かせない「言語活動スキル」の向上、そして、完全な合意に達しなかったとしても自国の不利益にはならないと判断できるならば「共存可能である」という点に気付いてもらうことが大きな狙いです。このプログラムを通じて生徒たちが多角的に自身の社会的使命を捉えなおし、自身のキャリアパスに良い影響を与えることを期待しています。

〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
交渉の際、その場で交渉相手に論拠となるデータや解決プランを提示できる
生徒間通信で、常に交渉や決議案作成の進捗状況が共有できる
シンキングツールで交渉記録を簡単にまとめられる

〈実践の目標〉
リサーチした情報を、自チーム内で確実に共有する方法を自分たちなりに考える
自チームの主張と他のチームの主張の妥協点を協働して探る
さまざまな提案や主張を「協働する/共存できる/看過できない」のいずれかに峻別する

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〈場面1〉児童労働問題の”何が”問題かを知る
国連の統計データや国際NGOの活動報告、ドキュメンタリー作品などを通じて、ふだん、日本の高校生があまり意識することのない児童労働問題が、じつは日本での生活環境と決して無関係ではないことに気づき、国際会議への興味・関心を深めていきます。

〈場面2〉自国の方針を協議し、共有する
自チームの担当国が置かれている環境、政治情勢、産業、人口構造について、まず十分に理解を深めたうえで、自チームの方針を決定し、どの国との交渉を進めるかについて協議を重ねます。その際、ロイロノートのテキストカードやウェビングなどのシンキングツールを活用し、集約されたチーム内の意見を「見える化」して、情報を共有します。

〈場面3〉合意グループの形成と決議案作成
事前にロイロノートで用意したプレゼンテーション資料を用い、方針が共有できそうな国や団体と合意グループを形成する交渉を重ねます。また、交渉の合意/決裂、国家間の取り決め内容、合意/決裂の原因などを、その都度ロイロノートに記録し、毎授業の終わりに提出します。

〈場面4〉会議本番 -スピーチ&交渉-
約90分間の会議本番の冒頭、代表国がプレゼンテーション資料をプロジェクターで映しながら決議案を説明し、他チームに対して自グループへの参加や決議案の承認を呼びかけます。また質疑の時間では、その場でロイロノートwebカードを用いデータを提示しながら、応答・反駁するシーンも見られました。

〈場面5〉会議本番 -採決-
リサーチ開始から約5か月間にわたって生徒たち自身が積み上げてきた決議案を採決します。14の国と国際NGOのうち、1つでも「反対」に手が上がれば廃案となるだけに、最後のブリーフスピーチにも熱が入ります。承認/拒否のいずれの結果となっても、「調査→意見集約→情報共有→言語活動」の経験が、今後のキャリアパスの一助となるはずです。

〈場面6〉フィードバック
高校生が会議プロセスを通じて感じた「喜び」「ひらめき」「不信」は、現実の国際会議の場であっても本質的には何ら大差ないことを踏まえ、今後の世界はどのような国際協調を目指すことが可能なのか、SDGsに掲げられた目標の達成に向けて高校生の自分自身に求められていることは何かを内省し、これまでの諸データをロイロノートで振り返りながら文書化します。

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