【英語】シンキングツール 活用法
目次
英語教育に、なぜシンキングツールが必要なのか?
学習指導要領 概要
中学校の学習指導要領における「外国語」の目標は、外国語でのコミュニケーション能力を育成することです。これには、言語の知識を活用する技能や、日常的・社会的な話題に対応できる力、文化理解と主体的な態度の育成が含まれます。なお、「外国語」では英語のみが具体的に記載され、「聞く・読む・話す(やりとり・発表)・書く」の5つの領域に分けられています。
英語科教育におけるシンキングツールの活用
英語教育において、シンキングツールは児童生徒の思考力や表現力を高めることに効果を発揮します。
例えば、インプット活動(聞く・読む)では、情報を整理して理解を深めること、アウトプット活動(話す・書く)では、論理的に考えを整理し、わかりやすく表現することに役立ちます。特に、英語と日本語とでは語順や文章構造が異なるため、シンキングツールを使って文の論理構造を視覚的に整理することで、文が組み立てやすくなり、表現力が向上します。
英語科において育成したい能力とシンキングツール
1. 基礎的な英語力の育成
「聞く・読む・話す(やりとり・発表)・書く」の4技能5領域すべてで、語彙・フレーズへの知識といった、基礎的な英語力の育成が求められています。
⇨ 既習事項をシンキングツールで整理することで、基礎的な英語に関する知識・技能が習得しやすくなります。
2. メタ認知能力
「聞く・読む・話す(やりとり・発表)・書く」の4技能5領域すべてで、自らの学びをメタ認知し、改善する能力が求められています。
⇨ シンキングツールを使うことで、学びや気づきを振り返りやすくなります。
3. 内容の理解・構成
「聞く・読む・話す(やりとり)・書く」の「思考力・判断力・表現力」では、「内容を理解する力」や「内容の構成力」が挙げられています。
⇨ シンキングツールで思考を可視化して、インプットした内容を構造的に整理することで、内容の理解が深まったり、アウトプットしたい内容をよりわかりやすいものに変えていくことができます。
4. 異文化の比較と理解
「聞く・読む」の「学びに向かう姿勢」では、「異文化理解」が挙げられています。
⇨ 聞き取った内容や読み取った内容をシンキングツールで整理していくことで、様々な文化の共通点や相違点がわかり、新たな気づきにつながります。
5. 質問に答える力
「話す(発表)」では、発表内容に対して出てきた質問にその場で答える能力も求められます。
⇨ 質問内容をシンキングツールで構造的に整理することで、適切な答えを導きやすくなります。
どのように教科教育に取り入れていくべきなのか?
能力育成の活用例
インプット活動(聞く・読む)における活用
基礎的な英語力の育成
シンキングツールは、語彙を増やしたり、発音を学んだりすることにおいては、あまり役立たないかもしれませんが、全く使えないわけではありません。
例えば、接頭語や接尾語で単語を分類して、それらの意味を類推したり、自分なりに理解することで語彙の幅を広げたり、使い方のレパートリーを増やすことができます。
内容理解
長い文章を読んで理解するには、内容を整理することが有効です。ステップチャートやプロット図を使うと、情報の流れを可視化でき、文の流れを理解しやすくなります。
異文化理解
メッセージや文章を理解するには、すでに知っていることや他の情報と関連付けると、より深く理解できます。
文化的な背景や視点の違いから誤解が生まれることがあります。これらを意識することで、内容をより深く理解することにつながります。
得た情報を、他の事柄と結びつけて考えることで、表面に現れていない意図や行間の意味に気づくこともあります。
アウトプット活動(話す・書く)における活用
内容構成
コミュニケーションでは、何を伝えるかを明確にすることが重要です。授業でのやりとりや発表では、テーマが決まっていることが多いので、自分がそのテーマに対して何を伝えるべきか、何を伝えたいかをはっきりさせることが大切です。
伝えたい内容を明確にするには、まずテーマに関連する知識を引き出し、足りない部分があれば調べて補う必要があります。
この過程では、ウェビング・イメージマップ(中心のテーマからアイデアを広げる)や、Yチャート(異なる視点からアイデアを広げる)などが役立ちます。
質問に答える力
発表では、質疑に答えることも求められます。質問に適切に答えるためには、事前にどのような質問が出そうか、想定しておくことが大切です。そのために、発表内容について5W1H(What, When, Where, Who, Why, How) の軸で考えます。
発表の準備段階で作成したウェビングやイメージマップも役立ちます。発表で使わなかったアイデアを調べておくことで、質問に対して幅広い知識で対応できるからです。
質問を想定したら、どのように答えるかもあらかじめ考えておくと安心です。
メタ認知
英語の学習は、数学や理科の系統的な学習とは異なり、柔軟さが求められます。文法事項は、時制や主述関係、疑問文の作り方のように系統的なものもありますが、単語やフレーズは文脈や場面によって意味が異なるため、柔軟に捉える必要があります。
さらに、5つの領域「聞く・読む・話す(やりとり・発表)・書く」の習得は同時進行かつ相互補完的に進みます。
そのため、学校での学習の流れに沿いつつ、自分自身の進み具合をメタ認知的にモニタリングし、改善していくことも重要です。定期的に5つの領域について振り返り、今後の学習の進め方を考えることが効果的です。
授業事例
全国のロイロ認定ティーチャーが作成した、授業案を学年・科目・単元ごとにまとめたページです。
シンキングツールを活用した授業案も多数掲載しています。ぜひご覧ください。